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尋常性白斑[私の治療]

No.5175 (2023年07月01日発行) P.37

鈴木民夫 (山形大学医学部皮膚科学講座教授)

登録日: 2023-06-30

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  • 境界明瞭な白斑を特徴とする進行性難治性疾患であり,病理組織学的には表皮メラノサイトが減少・消失する。時には粘膜に白斑が生じたり,毛髪部では白毛化を呈することもある。発症頻度は人口の0.5~1%程度と考えられており,色素異常症の中では最も頻度の高い疾患である。発症部位により患者のQOLを著しく低下させ,社会活動にも影響する1)。特に皮膚色の濃い民族では,古来いわれのない差別を受けてきたという不幸な歴史的事実もある。

    ▶診断のポイント

    完成した皮疹は完全脱色素斑であり,白斑周囲には色素増強を伴う。ただし,病初期には境界不明瞭な不完全脱色素斑を呈することもある。臨床病型として,皮膚分節に沿って白斑が片側性にみられる分節型(segmental vitiligo:SV)と神経支配領域と関係なく左右両側性に生じる非分節型(non-segmental vitiligo:NSV),そしてその両者の混合型(非常に稀)にわけられる。従来用いられてきた汎発型や全身型,接触型等はNSVに含まれる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    白斑に対する治療には,光線療法,外用療法,内服療法,外科的療法などがあり,病型および白斑の部位,範囲,病勢(皮疹が急速に拡大・新生しているかどうか,長期間変化がないか等),患者の年齢や通院可能な頻度等によって治療が選択されている。それぞれの適応と限界を知った上で,治療法を選択して組み合わせることが重要であるが,難治症例も多い。生命予後は良好であっても,白斑の存在が患者のQOLを著しく障害することに留意する必要がある。

    ステロイド外用薬では,長期使用による皮膚萎縮や毛細血管拡張等の副作用に注意する必要がある。また,タクロリムス軟膏は紫外線療法との併用は禁忌である。尋常性白斑の患者では皮膚癌の発症リスクが低いとの報告もある2)が,小児では紫外線に対する感受性が高く,紫外線療法の安全性が確立されていないので,その適用には慎重を要する。

    【鑑別診断】

    鑑別疾患として,以下の診断を確認する。脱色素性母斑,炎症後脱色素斑,Sutton白斑,Vogt-小柳-原田病,老人性白斑,眼皮膚白皮症,まだら症,Waardenburg症候群,結節性硬化症。

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