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■NEWS 主要国の開業規制を参考にした外来医師の偏在解消策を提言―財務省

No.5170 (2023年05月27日発行) P.70

登録日: 2023-05-22

最終更新日: 2023-05-22

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財務省は511日の財政制度等審議会・財政制度分科会に、少子高齢化対策に関する資料を提出した。この中で同省は外来医師の偏在解消策について、主要国における開業規制を参考にした対応の検討を要請。入院医療では急性期入院料について、現在の看護配置を基本とした報酬体系を改め、入院患者の重症度や救急受入などの実績を反映した報酬体系に転換することを求めた。財政審では現在、例年5月下旬にとりまとめる春の建議に向けた議論が進められている。

都市部に集中しがちな診療所の偏在を解消するための方策としては現在、「外来医師多数区域」の新規開業希望者に対して、地域で不足する医療機能を担うよう要請できる仕組みが設けられている。2024年度から始まる「第8次医療計画」ではこの取組をさらに強化し、外来医師多数区域以外、新規開業希望者以外にも同様の要請ができるようにする見直しが行われる。

分科会に提出した資料で財務省は、不足する医療機能への対応要請に実際に応じた外来医師多数区域の新規開業希望者が7割程度であることを問題視。診療所の新規開設について、日本と同様に公的医療保険制度を備えたドイツやフランスが診療科別、地域別の定員制を導入していることを参考に、「もう一歩踏み込んだ対応が必要ではないか」と問題提起している。

地域医療構想では急性期病床と回復期病床について、21年度の病床機能報告における25年の見込病床数と、入院医療需要から推計した25年の病床必要量数の間に大きな差異があることを指摘。「急性期・回復期をはじめとする病床の役割分担が進まないと、今後、各地域で治療に長い期間を要する高齢者が増える中で、質の高い急性期医療、回復期における適切なケアの提供ができなくなる」と危惧を表明した。 

■急性期入院料は実績をより反映した診療報酬体系への転換を

その上で、病床機能報告で急性期として報告されている病床の多くが、報酬設定が最も高い看護配置71の「急性期一般入院料1」の算定病床であることを示し、「7対1といった看護配置に依存した診療報酬体系から、患者の重症度、救急受入、手術といった『実績』をより反映した体系に転換していくべきだ」と提言。「そうした中で、101といった看護配置を要件とする急性期入院料は廃止を検討するべきではないか」とも主張している。

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