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急性網膜壊死(桐沢型ぶどう膜炎)[私の治療]

No.5164 (2023年04月15日発行) P.48

竹内 大 (防衛医科大学校眼科学講座教授)

登録日: 2023-04-13

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  • 急性網膜壊死(acute retinal necrosis:ARN)は,単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)type 1(HSV-1)およびtype 2(HSV-2),水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)の再活性化が原因の汎ぶどう膜炎である。

    ▶診断のポイント

    片眼に発症し,数週~数カ月後,時には数年後に対側に発症することもある。両眼性の頻度は,片眼発症後,適切な抗ウイルス療法が施されていれば10%,されていなければ〜70%とされる。ARNは,充血,眼痛,霧視,飛蚊症,視力低下などの症状で始まり,数日~数週間で高度の視力障害をきたし,失明に至る重篤な疾患である。

    眼所見は毛様充血,扁平で灰白色の豚脂様角膜後面沈着物が角膜全体に密にみられ,眼圧上昇を伴う。眼底では黄白色の顆粒状病変が網膜周辺部に出現し,円周状に拡大癒合しながら後極に進展していく。そして閉塞性網膜血管炎,視神経乳頭の発赤,腫脹,さらには網膜出血,硝子体混濁を呈する。網膜黄白色病変は壊死病巣となり,菲薄化した壊死網膜に生じる多発性裂孔により網膜剝離を合併する。

    最も多い原因ウイルスはVZVであり,続いてHSV-2,HSV-1である。

    両眼性では,後発眼のほうが先行眼よりも網膜黄白色病巣の範囲,網膜剝離の合併が少なく,視力予後は良好である。

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