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急性内斜視の背景,診断,治療,生活指導などについて

No.5157 (2023年02月25日発行) P.54

高尾宗之 (JR東京総合病院眼科部長)

山上明子 (井上眼科病院)

登録日: 2023-02-27

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  • 近年デジタル機器使用による急性内斜視の症例が増加していると言われています。疾患の背景や診断,治療,生活指導などについて,井上眼科病院・山上明子先生にご解説をお願いします。

    【質問者】高尾宗之 JR東京総合病院眼科部長


    【回答】

     【発症予防には適切な眼鏡矯正,デジタル機器の使用時間を短く,画面を離し,遠方を見る時間をつくることが重要】

    急性内斜視とは生後6カ月以降に急性に発症する内斜視で,片眼の遮蔽や視力低下による融像の遮断や心身のストレス・精神的ショック,近視の低矯正が誘因になるとされています1)

    近年,デジタル機器の使用時間の増加が要因と思われる急性内斜視が若年層に増加していることが指摘されています2)。わが国でも日本小児科学会および日本弱視斜視学会により全国調査が行われています。以前から急性内斜視は存在しましたが,デジタル機器の利用増加に伴い,臨床の現場でも30代未満の若年者に急性内斜視の増加を実感しています。

    遠くから近くを見るときは,自然に近見反射(輻輳して眼位を内斜視にし,毛様体筋を緊張させてピントを合わせる調節と縮瞳)が起きますが,デジタル機器,特にスマートフォンや携帯ゲーム機は画面までの距離が約20~30cmと近く,近見反応を持続・繰り返すことになり,眼位が内斜視化している状態になります。

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