株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

リウマチ性疾患におけるNSAIDsの適正使用について

No.5136 (2022年10月01日発行) P.49

小谷卓矢 (大阪医科薬科大学内科学Ⅳ リウマチ膠原病内科講師)

野﨑祐史 (近畿大学病院血液・膠原病内科准教授)

登録日: 2022-09-29

最終更新日: 2022-09-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • リウマチ性疾患における非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)の適正使用について,近畿大学病院・野﨑祐史先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    小谷卓矢 大阪医科薬科大学内科学Ⅳ リウマチ膠原病内科講師


    【回答】

    【副作用を避けるためには消化性潰瘍・心血管のリスク評価が重要である】

    NSAIDsは,疼痛を呈する関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA),変形性関節症,筋骨格系疾患などの様々な症状を改善するため,世界中で最も使用されている薬剤です。また,RA治療においては,抗リウマチ薬の治療効果発現までの疼痛緩和効果,もしくは慢性期における疼痛管理効果が期待され,日常診療において使用頻度は非常に高い薬剤です。しかし,NSAIDsの使用方法によっては,消化管・心血管や腎機能に悪影響を及ぼす可能性があるため,作用機序や使用方法,副作用について理解することが適正使用には重要となります。

    (1)作用機序

    NSAIDsは細胞膜リン脂質から合成されたアラキドン酸で,主に3つの経路〔①シクロオキシゲナーゼ(COX)によりプロスタグランジンやトロンボキサンなどを合成するCOX経路,②リポキシゲナーゼによりロイコトリエンなどを合成するリポキシゲナーゼ経路,③チトクロームP450(CYP)によりエポキシエイコサトリエン酸などを合成するCYP経路〕で代謝されます。COXにはCOX-1(血小板,消化管,腎臓などに常時発現しており,臓器の恒常性維持に必要),COX-2(炎症などで誘導され,血管拡張作用などを有し,炎症を促進する物質を合成)の2つのサブタイプがあるため,消炎鎮痛効果以外に様々な臓器における副作用発現の可能性があります。

    (2)薬剤選択基準

    副作用を避けるための薬剤選択基準として消化性潰瘍・心血管リスクに対する評価が重要です。消化性潰瘍・心血管リスクが高い場合では,可能であればNSAIDsの使用は回避し,回避できない場合は低用量COX-2阻害薬を投与します。心血管リスクが低い場合では,通常量COX-2阻害薬を投与します。いずれの場合もプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)を併用します。特に潰瘍既往歴のある場合は,消化性潰瘍リスクが高いとされていますのでHelicobacter pylori(H.pylori)感染を検査し,必要に応じて除菌をお勧めします。

    消化性潰瘍リスクが低い場合,心血管リスクが高い症例では低用量COX-2阻害薬を投与します。心血管リスクが低い場合では各種NSAIDsが使用可能ですが,すべてのNSAIDsにおいて長期間内服は消化管障害,心血管障害,腎障害の危険因子となりうるため,可能な限り休薬を考慮して下さい。

    残り1,603文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top