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微弱陣痛・遷延分娩[私の治療]

No.5136 (2022年10月01日発行) P.47

梅原永能 (国立成育医療研究センター病院周産期・母性診療センター産科部長)

登録日: 2022-10-04

最終更新日: 2022-09-27

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  • 微弱陣痛とは,分娩開始後より陣痛が自覚的あるいは他覚的に微弱で,発作の持続が短くかつ周期が長く分娩が進行しない状態を言う。正確な陣痛の強さの評価は内測陣痛計によるが,その使用は限定的であるため,内測陣痛計の代わりに外測陣痛計による陣痛周期と陣痛発作持続時間で評価することが多い1)。内測および外測陣痛計による微弱陣痛の診断基準は成書に譲るが,分娩の進行状況(頸管開大度)によりその基準は異なる。

    微弱陣痛は,発生した時期により原発性と続発性に分類され,原発性は分娩開始時から微弱陣痛であるものを示し,子宮形態異常,子宮筋腫,多胎,羊水過多,内因性オキシトシンやプロスタグランジンの分泌不全や子宮筋の感受性低下が原因として挙げられる。一方,続発性微弱陣痛は分娩開始時には陣痛強度は正常であったが,その後微弱陣痛となるものを示し,二次的な全身性の脱水や疲労,子宮筋の疲労が主な原因として挙げられる。

    また,初産婦で分娩開始から30時間,経産婦では15時間を経過しても分娩に至らないものを遷延分娩と言う。遷延分娩では器械分娩,帝王切開,新生児仮死の頻度が有意に増加することが知られており2),その管理に注意が必要である。遷延分娩の原因として最も頻度の高いものが微弱陣痛であり,その他産道異常(狭骨盤,児頭骨盤不均衡,軟産道強靱など)や胎児異常(巨大児,胎位異常,胎勢異常,回旋異常など)が挙げられる。

    ▶診断のポイント

    上述の微弱陣痛の診断基準は,多数の正常分娩例の統計学的処理に基づいた基準であり,これを目安として診断されるものではあるが,臨床所見を加味して総合的に判断すべきである。分娩進行の判断には従来Friedman曲線が用いられ,潜伏期は頸管開大3~4cmまでと考えられてきたが,近年,米国産科婦人科学会(ACOG)では頸管開大6cm未満を潜伏期と見直す考えを示している3)。この間は分娩開始時間が不明確な場合も多く,個人差も大きいことから,陣痛が弱くてもゆっくり分娩の進行を認めれば待機的管理を行うことを推奨している。

    潜伏期を過ぎ活動期以降になって微弱陣痛と診断したら,その原因を検索し,可能なものに対しては除去・改善を行う。経腟分娩が困難となる原因(児頭骨盤不均衡,胎位異常,胎勢異常,回旋異常など)がある場合には,陣痛の増強を行うべきであるか,症例ごとに検討することが重要である。

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