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手足口病[私の治療]

No.5123 (2022年07月02日発行) P.47

細矢光亮 (福島県立医科大学小児科学講座主任教授)

登録日: 2022-07-05

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  • 手足口病は,手・足・口に水疱性発疹をきたす疾患で,毎年初夏から晩秋にかけて流行がみられる。通常,軽症であるが,時に髄膜炎,脳幹脳炎,ポリオ様麻痺,心筋炎などの重篤な合併症を伴うことがあり,注意が必要である。原因病原体はエンテロウイルスで,コクサッキーウイルスA16(CA16)とエンテロウイルス71(EV71)が多いとされていたが,近年はCA6による手足口病の流行がみられる。

    ▶診断のポイント

    【症状】 

    日本を含む温帯地域においては夏季の感染症の代表である。通常19週頃から流行が始まり,28週頃にピークを迎え,以後減少しながらも年末まで続く。潜伏期は通常3~6日である。

    手足口病は文字通り,手・足・口に水疱性発疹がみられる疾患である。手掌,手背,指間,足底,足背,口腔粘膜にみられ,時に下腿,膝関節,臀部にも出現する。この特徴的発疹と季節,周囲での流行状況から診断が可能である。

    ただし,CA6による手足口病では,通常よりやや大きな水疱性病変を呈し,全身に拡大することがあり,罹患数週間後に爪の脱落をきたすなど,やや様相を異にする。

    一般に手足口病は軽症であるが,稀に合併症として髄膜炎,脳幹脳炎,ポリオ様麻痺,心筋炎などを引き起こすことがある。

    【病原診断】
    〈血清診断〉

    臨床像からウイルスの血清型がいくつかに特定される手足口病では有効な診断法である。抗体測定法には,補体結合(CF),赤血球凝集抑制(HI),中和(NT)試験などがあるが,比較的型特異性の高いNT法が用いられることが多い。他の感染症と同様に,感染早期の急性期と発症後2~4週の回復期に血清を採取し,同時に抗体価を測定して4倍以上の上昇を認めた場合を有意とする。

    〈ウイルス分離〉

    一般に,エンテロウイルスの分離には株化細胞を用いた細胞培養法が有効であり,CA16やEV71はこれにより分離可能である。しかし,番号の若いCA群(たとえばCA6)は細胞を用いた分離が困難である。咽頭拭い液や糞便からの分離頻度が高いが,中枢神経症状を呈する場合は髄液や血液なども採取しておく。

    〈ウイルス遺伝子検出法〉

    PCR法の利点は,検出感度がきわめて高いこととウイルスを分離することなく検出可能である点にある。したがって,通常の細胞培養では分離されにくいCA群の検出に有効である。さらに,PCR法により増幅された遺伝子の塩基配列を決定し,エンテロウイルス標準株の塩基配列とともに遺伝子系統を解析することにより,ウイルスの型別も可能である。また,EV71やCA16に特異的なプライマーを設定すれば,これらのウイルスを直接検出することができる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【治療上の一般的な注意&禁忌】

    手足口病は一般に軽症であるが,新生児期の髄膜炎,脳炎・脳症,麻痺性疾患,心筋炎などは重篤であり,これらの合併がないか注意深く観察する。

    手足口病に対する抗菌薬の投与は無益であり,細菌感染症の合併がない限り投与しない。発疹に対する外用薬も不要である。

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