急性発作を予防し,また,早期の対応により重症化を防ぐ。
誘因を避けるように指導する2)3)。月経に伴い急性発作を起こす症例では,LH-RH analogueを用いて月経を止めることも効果がある。
一手目 :〈対症療法〉病状を悪化させる可能性がある薬物を絶対使用禁止するとともに,疼痛,腹痛にはクロルプロマジンおよび麻薬,不安,神経症にはクロナゼパム,クロルプロマジン,高血圧,頻脈にはβ遮断薬を処方,SIADHには補液による電解質補充
二手目 :〈一手目に追加〉10%ブドウ糖液1~4L/回(静注)
ブドウ糖を中心とした補液。ALASの酵素活性が抑制される。
一手目 :ノーモサングⓇ注(ヘミン)1回3mg/kgを生理食塩水100mLに溶解し,1日1回(30分以上かけて点滴静注)4日連続
ヘム製剤(ヘムアルギニンあるいは塩酸ヘマチン)の投与は病態に則した治療法であり,欧米では第一選択療法。
一手目 :ギブラーリⓇ注(ギボシランナトリウム)1回2.5mg /kg 1日1回(皮下注)月に1回
ギボシラン(givosiran)はALAS1遺伝子を標的としたsiRNAで,急性発作の再発を抑える。わが国では2021年に承認された。
【文献】
1)大門 眞:ポルフィリン症. 内科学. 第11版. (分冊第Ⅳ巻). ⽮﨑義雄, 編. 朝倉書店, 2017, p1815-20.
2)American Porphyria Foundation(APF).
https://www.porphyriafoundation.org
3)European Porphyria Network(EPNET).
https://porphyria.eu
大門 眞(弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学講座教授)