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急性アルコール中毒[私の治療]

No.5119 (2022年06月04日発行) P.41

山内 聡 (仙台市立病院救命救急センター長)

登録日: 2022-06-07

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  • ここでは,一般的なアルコールとしてエタノール中毒を扱う。通常,経過観察のみで自然に回復することが多いが,呼吸抑制,吐物による窒息で致死的となることがあり,その際には気道,呼吸の管理が必須である。

    ▶病歴聴取のポイント

    飲酒したアルコールの量のほかに,外傷の有無,中枢神経抑制薬などを併用していないかの確認を行う。

    慢性的にアルコールを摂取している患者の場合,低栄養による低血糖やビタミンB1欠乏症を合併していることがあり,血糖のチェックやWernicke脳症を防ぐためにビタミンB1の経静脈投与が必要となる。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    まず,気道,呼吸,循環の確認を行う。

    急性アルコール中毒により末梢血管が拡張して,熱が体外に放出され,低体温を生じることがあるため,体温もチェックする。

    飲酒状況が不明な場合,身体診察で外傷の合併の有無を確認する。

    重症中毒では,瞳孔は通常縮瞳している場合が多い。

    ▶緊急時の処置

    急性アルコール中毒により死亡する場合,血中エタノール濃度が高まることで呼吸・循環中枢が抑制されて死に至る事例と,吐物による窒息で死亡する事例がある。治療法としては,気道確保,呼吸・循環の管理が重要である。具体的には,気道閉塞や呼吸抑制,呼吸停止があれば,速やかに気管挿管および人工呼吸管理を施行する。低血圧があれば,細胞外液の急速輸液を行う。

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