株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「2022年度診療報酬改定について─精神科救急入院料の大幅な変更」平川淳一

No.5110 (2022年04月02日発行) P.62

平川淳一 (平川病院院長、東京精神科病院協会会長)

登録日: 2022-03-08

最終更新日: 2022-03-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

精神科入院医療の領域では、従来のいわゆる「スーパー救急」と呼ばれてきた精神科救急入院料に大きな改定が行われ、「精神科救急急性期医療入院料」という新しい特定入院料(包括払い)が誕生した。

もともとの争点は2020年度改定で示されたスーパー救急病床数の制限問題であったが、これがまったく異なる形で改定されたのである。精神病床は世界的にも多いと指摘され、病床削減を国は進めてきているにもかかわらず、従来のスーパー救急入院料の病床数は病院の総病床数300床以下は60床、それ以上は総病床数の2割という規定をつくり、病床数の多い病院が有利な選択ができるような要件になっていた。今回、総病床数による縛りは時代に合わないということで撤廃され、救急、急性期を合わせて、病床数にかかわらず300床まで認めるということになった。

また、前述した精神科救急急性期医療入院料を算定し、救急に対応する病棟は、精神科救急医療体制加算という形で別算定するようにし、この病床数の上限を120床と規定した。さらに、今までは診療報酬の算定要件さえ満たせば請求可能であったところを、都道府県から「精神科救急医療体制整備事業」としての指定を条件としたため、いくら自分のところは365日24時間やっているといっても、都道府県からの指定がなければ算定ができなくなったのである。これは大変大きいことで、一般科救急などの連携を含め地域包括システムの中できちんと機能しているか評価されることになるし、指定を受けている病院の多くが公的病院であるため、公的病院もそれなりの自覚を持つ必要が出てくると思われる。

一方、精神科入院医療の現状からすると、外来精神科医療の機能向上により、入院患者は精神症状がより重度で、自傷他害のある警察絡みのケースも増加し、さらに高齢者も増加し、身体合併症や認知症を伴う場合も増え、平均的な医師配置48:1、看護配置15:1では対応できなくなってきている。今回の精神科救急急性期医療入院料は、スーパー救急の基準であった医師配置16:1、看護配置10:1を要件にしており、ようやく一般科並みの人員配置の基本ができたと思う。今後の精神科入院医療が向上していくと大いに期待しているところである。

平川淳一(平川病院院長、東京精神科病院協会会長)[診療報酬改定][精神科救急]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top