No.5103 (2022年02月12日発行) P.57
和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)
登録日: 2022-02-01
最終更新日: 2022-02-01
感染拡大と地域での検査機会が減っている状況も考慮し、2つの場面を想定して、職場や学校への復帰について検討してみました。エビデンスが限られている中での判断になりますし、意見も分かれるところがあるかもしれません。あくまで筆者の見解です。
○就労世代や学生の年代では多くが数日で回復しています。新型コロナの検査を受けずに回復した方が職場や学校に復帰する際の目安が問われています。陽性と確認された感染者に準じて、発症日を0日としてから11日目に復帰とする考えもあります。
○しかし、現在の状況においては、「症状が軽快してから72時間経過」を目安にすることを提案します。通常、症状を数日経験していることを勘案すると、この目安の段階では発症から約6〜7日程度が経過していることが想定され、ウイルス排出の可能性も下がっていることが想定されます。
○オミクロン株の場合には感染力が強く、家族全員が感染することがよく起きています。家庭内で同時期に症状が出た場合には新型コロナウイルスに感染した可能性が高いと考えてください。潜伏期間が3日程度と考えられますので、同居家族BさんはAさんの発症日の3〜5日程度は、特に症状が出ないかを注意してください。症状が出た方で、特に高齢者や持病のある方は検査を受けるなどしてください。
○一方で、症状がない同居家族のBさんは、念のため、症状のある家族Aさんとの接触には注意して対応をしてください。外出や仕事は制限されませんが、慎重に日々を過ごしてください。なお、同居といっても接触の頻度は様々ですので、全員一律にリスクがあるとは考えられませんが、人数の多い家族では徐々に広がることはあり得ます。
いずれの場合も本人たちは、「新型コロナに感染したかも」という自覚があることから、マスク装着の徹底や、感染リスクが高い飲食の場面を避ける、学生さんは密な場面の多い部活動を避けるなど注意しながら日々を過ごしていただきます。一方で、この提案は、こうした方々を企業や学校が長い期間、自宅待機などにしないようにするためのものです。そして、これらの方の復帰にあたり、検査陰性の証明などを求めないようにしてください。
和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]