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【識者の眼】「COVID-19『罹患後症状』とは?」横山彰仁

No.5105 (2022年02月26日発行) P.59

横山彰仁 (高知大学呼吸器・アレルギー内科学教授)

登録日: 2022-01-19

最終更新日: 2022-01-19

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、急性期を過ぎても症状が遷延する、もしくは新たな症状が出現することがあり、これらは遷延症状、遅発症状など様々に呼称されてきた。英国のNICEガイドライン(2020年12月)では、COVID-19の時間経過に着目して、acute COVID-19(発症4週まで)、ongoing symptomatic COVID-19(発症4〜12週)、post-COVID-19症候群(発症12週を超える)と分類し、ongoing以降を「long-COVID」と定義した。

COVID-19罹患後の症状は、時間とともに改善する場合が多く、大多数は遷延する症状・所見であり、「後遺症」は永続するものを意味するため、これまで日本では「いわゆる後遺症」という言葉が使われることが多かった。しかし、昨年末に、厚労省の「COVID-19診療の手引き」第6版の別冊として「罹患後症状のマネジメント」という冊子が世に出て、こうしたいわゆる後遺症は「COVID-19罹患後症状」と呼ぶことになった。

ただ、日本語で「罹患後」というと、治った後という意味もある一方で、罹患(=感染)後1、2日の急性期症状も含まれうる。小生も日本呼吸器学会を代表する形で委員を務めているが、本冊子においては、定義を記載することでこの名称が採用された経緯がある。すなわち、WHOの「post COVID-19 condition」を「COVID-19 後の症状」と訳した上で「罹患後症状」とし、WHOの「post COVID-19 condition」と同じ定義としたのである。英語でpost〜というのは〜の(時間的に)後という意味だが、〜が無関係になった後という訳もある。つまり、急性期症状が消失した後という意味であり、WHOの定義では、COVID-19の発症から通常3カ月後に、少なくとも2カ月間持続しているものとされている。

科学的には、①COVID-19の確証と、②COVID-19以外の原因が否定できることが定義には必須であり、ワクチンの効果や株ごとの差異など引き続き罹患後症状の科学的検討を進める必要がある。しかし、実臨床では①がない場合も散見されるし、精神症状など②も困難な場合もあり、柔軟な対応が必須であるのは言うまでもない。

横山彰仁(高知大学呼吸器・アレルギー内科学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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