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マルチモビディティのパターン評価─パターンに基づいた効果的・効率的なアプローチ[プライマリ・ケアの理論と実践(122)]

No.5090 (2021年11月13日発行) P.12

青木拓也 (東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター臨床疫学研究部講師)

登録日: 2021-11-11

最終更新日: 2021-11-10

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SUMMARY
多疾患併存状態(マルチモビディティ)は今や臨床現場で当たり前の健康問題になりつつあるため,併存疾患の種類や患者複雑性を基にマルチモビディティ・パターンを評価し,特に介入の必要度が高い患者を同定する必要がある。

KEYWORD
マルチモビディティ・パターン
慢性疾患の組み合わせや患者複雑性の視点から評価するマルチモビディティのパターン。マルチモビディティの中でも,パターンによって健康リスクの大小は異なる。

青木拓也(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター臨床疫学研究部講師)

PROFILE
日本医療福祉生協連家庭医療学開発センターで総合診療/家庭医療の研鑽を積み,現在はAcademic GPとしてプライマリ・ケア研究に注力している。博士(医学),医療政策学修士,家庭医療専門医,社会医学系専門医,臨床疫学認定専門家。

POLICY・座右の銘
吾唯足知

1 マルチモビディティのパターンとは

多疾患併存状態(マルチモビディティ)は,「複数(一般的には2つ以上)の慢性疾患が一個人に併存している状態であり,中心となる疾患を特定できない状態」と定義され,死亡率の増加,QOLの低下,精神障害,入院など様々な健康リスクと関連することが知られている1)。疾病構造の変化に伴い,今やマルチモビディティは臨床現場で当たり前の健康問題になりつつある。筆者らが2016年に実施した日本のマルチモビディティに関する全国的な疫学調査では,マルチモビディティ(2つ以上の慢性疾患を有する状態と定義)の有病率は,18歳以上の住民において29.9%,65歳以上の高齢者においては62.8%に上った2)

一方,マルチモビディティは,多様な慢性疾患を含む異質性の高い状態であり,単に疾患数によって一括りに定義するだけでは限界があることが指摘されている。たとえば,マルチモビディティの中でも特に健康リスクが高く,介入の必要度が高いパターンが存在するため,こうした患者の見極めは,診療の質向上のみならず,有限である医療資源を効率的に配分する上でも役立つと考えられる3)。単一の慢性疾患とは異なり,マルチモビディティという複雑な問題に対して,単独の介入のみでは不十分であり,複数の介入を組み合わせた複合的な介入(complex intervention)や,患者の価値観や意向を考慮に入れた個別化された介入が有効と考えられているため,マルチモビディティ診療では効率性の観点も必要である。

すなわち,目の前にいる患者が「マルチモビディティか否か」だけではなく,「どんなパターンのマルチモビディティか」を評価することも重要と言える。

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