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低カリウム血症[私の治療]

No.5090 (2021年11月13日発行) P.36

藤田芳郎 (中部ろうさい病院腎・リウマチ・膠原病内科部長/副院長)

登録日: 2021-11-11

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  • 血清カリウム(K)値の正常範囲は3.5〜5.0mmol/Lと考えられており1),したがって血清K値3.5mmol/L未満を低カリウム血症と考える。

    ▶診断のポイント

    まずバイタルサインと心電図をチェックする。これらに異常(心電図でU波やQT延長や幅広いT波など)があれば,血清K値を正常にするための治療を優先しながら原因疾患を考える。原因疾患として,まずは治療が不要な偽性低カリウム血症(血液中では正常であるのに検査結果が低カリウム血症を示しているもので,この場合は治療してはいけない。また,心電図に異常はみられない。採取後から検体検査までの時間が長く特に気温が高い場合になりやすい。また,白血病で重度の白血球上昇があり検体を置いておく時間が長ければ,Kを細胞が取り込み低カリウム血症になることが稀にある)の可能性も考えるが,稀であろう。

    よくみられる治療を要する原因は,以下の9つの状態あるいは疾患である。薬剤の服用によるものとして,①甘草,②フロセミドやサイアザイドなどの利尿薬,③ β2刺激薬やインスリンの摂取などがあり,そのほか④嘔吐,⑤下痢,⑥甲状腺機能亢進症(若年男性に多い),⑦尿細管性アシドーシス(特にシェーグレン症候群に注意)などを考慮する。救急外来などでは,⑧トルエン中毒(シンナー服用)にも留意する。また,見落としやすい原因としてICUやアルコール中毒などに多くみられる,⑨マグネシウム(Mg)欠乏がある。これらを想定した問診などから鑑別できることが多い。原因検索の手がかりとして有用な検査として,以下の3つの検査が挙げられている。

    ・尿中のKとクレアチニン(Cr)比〔スポット尿のK(mEq/L)/Cr(g)が13mEq/gCr未満であれば,下痢などの腎以外のK排泄亢進を示唆する2)〕。

    ・酸塩基平衡代謝性〔アルカローシス(上記①②④⑨に相当)か代謝性アシドーシス(上記⑤⑦⑧およびその他治療中の糖尿病性ケトアシドーシスに相当)〕。

    ・高血圧の有無(血清レニン,アルドステロン値測定)。

    上述した9つの原因がなければ,やや稀な疾患・状態を考えることになる。それらの中には,ギッテルマン症候群,隠れた嘔吐,隠れた利尿薬の使用,隠れた下剤の使用,カフェイン中毒などがあり,さらに稀なものとしてヒドロキシクロロキンの過量投与,テオフィリン中毒,バリウム中毒,セシウム中毒,二次性高血圧に分類される様々な疾患などが挙げられる。

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