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『令和3年版厚生労働白書』をどう読むか?[深層を読む・真相を解く(113)]

No.5076 (2021年08月07日発行) P.52

二木 立 (日本福祉大学名誉教授)

登録日: 2021-08-04

最終更新日: 2021-08-04

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厚生労働省は7月30日、『令和3年版厚生労働白書』(以下、『白書』)を公表しました。『白書』の副題(第1部のタイトル)は「新型コロナウイルス感染症と社会保障」で、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大による国民生活への影響とその対応について、リーマンショック時との対比や国際比較を交えつつ、分析を行い、社会的危機における社会保障の役割について検討を行っ」ており(2頁)、以下の2章構成です(全181頁)。第1章「新型コロナウイルス感染症が国民生活に与えた影響と対応」、第2章「社会的危機と社会保障」。

本稿では、第1部を読んで私が注目したか、物足りないと感じた記述を述べます。

国民生活に与えた甚大な影響

第1章第1節はコロナを契機に国民生活がどう変わったかを、第2節は「特に大きな影響を受けた人々・活動への対応」を、①仕事や収入が急減した人への対応、②孤立の深刻化への対応、③女性、④子ども、⑤医療・福祉現場への影響別に、ていねいに書いており、コロナの影響の全貌を理解できます。

第1節で私はテレワーク実施状況の業種別・雇用形態別の差に注目しました。実施率は全体の34.5%に対して、業務の大半が対人サービスである医療・福祉・保育関係では9.8%にとどまり、正規雇用全体の42.2%に対して非正規雇用全体では18.0%にすぎません(9頁)。

医療機関への受診控えも深刻で、持病を有している者の18.3%が通院頻度を減らし、6.5%が通院自体を取りやめています(17頁)。受診控え等が、「医療機関の経営に大きな影響」を与えたこともていねいに書いています(89-98頁)。例えば、患者数、医療費とも、昨年4月、5月に大幅に減少し、診療科別では小児科や耳鼻咽喉科で減少幅が大きかったことなどです。ただし、これらは医療関係者にはほとんど既知のことと思います。

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