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マイボーム腺機能不全[私の治療]

No.5074 (2021年07月24日発行) P.39

鈴木 智 (京都市立病院眼科部長)

登録日: 2021-07-23

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  • マイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction:MGD)は,「様々な原因によってマイボーム腺の機能がびまん性に異常をきたした状態であり,慢性の眼不快感を伴う」疾患と定義される。分泌増加型と分泌減少型の大きく2つに分類されるが,日本人では分泌減少型がほとんどで,中でも「原発性・閉塞性MGD」が多い。原因としては,加齢,性ホルモン,常在細菌叢などの関与が知られている。

    ▶診断のポイント

    診断には,自覚症状とともに細隙灯顕微鏡所見による①マイボーム腺開口部(以下,開口部)周囲の異常所見(血管拡張,眼瞼縁の不整,粘膜皮膚移行部の移動)と②開口部の閉塞所見(開口部の閉塞所見,圧出困難)を評価しなければならない。自覚症状とともに,①のうち1つ以上と②の両者がそろうと分泌減少型MGDの確定診断となる。さらに閉塞性MGDは,開口部周囲に発赤,腫脹といった炎症所見が明らかなもの(炎症性MGD,「マイボーム腺炎」と呼ぶ)と明らかでないもの(非炎症性MGD)に分類できる。それぞれの病態に対応する眼表面の異常が存在し,治療法も異なることに注意が必要である1)2)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【非炎症性・閉塞性MGD】

    一般的に,日常診療でよく遭遇する女性あるいは高齢者に多い病態である。開口部の過角化およびマイボーム腺分泌脂(以下,meibum)の質的・量的な異常が生じているため,break up time of tear film(BUT)が低下し,涙液の蒸発亢進をきたし,角膜下方に点状表層角膜症(superficial punctate keratopathy:SPK)を生じている場合が多い。meibumの粘度上昇・固形化により分泌が低下しているため,眼瞼温罨法により分泌を促進することでマイボーム腺機能の改善を図ることが重要である。また,角膜にSPKを認める症例は,対症的に蒸発亢進型ドライアイに対する治療を行うことでSPKをコントロールする。

    【炎症性・閉塞性MGD】

    マイボーム腺炎では,眼表面に特徴的な異常を認めることがあり,この病態を「マイボーム腺炎角結膜上皮症」と呼ぶ1)。角膜への結節性細胞浸潤と表層血管侵入を特徴とする若年女性に多い「フリクテン型」と,結節性病変は認めずSPKが主体である若年女性あるいは高齢者に多い「非フリクテン型」の2つに大別できる。どちらの病型も,マイボーム腺炎の重症度と角膜上皮障害の重症度は相関する。フリクテン型の結節にはPropionibacterium acnes(P. acnes)に対する遅延型過敏反応が,非フリクテン型のSPKにはmeibumが分解された結果生じた遊離脂肪酸が関与していると考えられる。治療はどちらの病型においても,細菌増殖によって生じていると考えられるマイボーム腺炎の治療が基本となる。

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