株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

毛髪再生への挑戦について

No.5072 (2021年07月10日発行) P.49

井川 健 (獨協医科大学医学部皮膚科学講座教授)

新山史朗 (東邦大学医療センター大橋病院皮膚科准教授)

登録日: 2021-07-09

最終更新日: 2021-07-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 毛髪再生への挑戦について教えて下さい。
    東邦大学医療センター大橋病院・新山史朗先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    井川 健 獨協医科大学医学部皮膚科学講座教授


    【回答】

    【この治療法は女性も対象となる脱毛症治療のひとつである】

    男性型および女性型脱毛症の原因のひとつとして,男性ホルモンが挙げられます。テストステロンが5α還元酵素の働きで男性ホルモン作用の強いジヒドロテストステロンに変換し,これにより毛周期の成長期が短縮して頭髪が軟毛化します。

    5α還元酵素は大きくⅠ型とⅡ型にわけられます。そのⅡ型を抑制するものがフィナステリド,Ⅰ型とⅡ型の両方を抑制するものがデュタステリドです。これらの薬剤は,脱毛前の状態にまで回復させることは困難ですが,少なくとも進行を遅らせる働きはあるというのが個人的な印象です。これらを使用できるのは男性だけで,女性には使用できません。安全性確認の際に,胎児雄マウスに男性生殖器異常がみられたため,妊娠,授乳を経験する女性には使用不可です。また,男性であっても胎児保護の目的で,フィナステリド内服中止1カ月後,デュタステリド内服中止6カ月後からでないと献血はできません。

    毛包が形成されるメカニズムを解明するために,長年にわたって様々な部位の移植研究が行われた結果,毛包基部の膨らみである毛球部が重要なことがわかりました。当初は毛球部内の毛乳頭が重要視されていましたが,移植後の発毛効果は確かにあるものの,期待されたレベルではありませんでした。

    残り484文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top