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【識者の眼】「医療介護のADL評価法をBI利得に統一しませんか」武久洋三

No.5073 (2021年07月17日発行) P.62

武久洋三 (医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)

登録日: 2021-07-01

最終更新日: 2021-07-01

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とにかくリハビリテーションの必要のある患者がどんどんと増えている。

リハビリテーションはいかなる病気にかかろうとも入院後の回復には必須の医療であり、国民の高齢化による虚弱化に対しても必要な技術である以上、今後需要が少なくなる事態は考えられない。そうなると難しい専門用語や特殊治療はともかく、患者の病状や状態把握・障害状況については医師だけでなくリハビリテーションにかかわる関係者全員が理解しやすい学問としての入口が、かつてなく必要視されている。

リハビリテーションのADL評価方法はいくつもあるが、Barthel index(以下、BI)と、Functional Independence Measure(以下、FIM)がある。BIは全世界で広く使われ、多くのデータが利用できる評価法である。しかし、リハビリテーション専門職の間ではBIのような2〜4段階では物足りず、より詳細な評価法として、現在、FIMが汎用されている。そして2016年度診療報酬改定でFIM利得を用いた実績指数がアウトカム指標として導入された。これはFIM点数の改善単位数の総和が増加することへの評価である。それ以前は、1単位20分間、療法士と患者が1対1でリハビリテーションを実施した時のみ診療報酬算定が認められており、いかなる療法内容であろうと20分間という時間だけが定められていた。このシステムに遅ればせながらアウトカム評価が導入されたことは刮目に値する。

一方で医療界だけでなく、介護保険領域でのリハビリテーションの需要が急増している。しかしながら介護保険領域でのADL評価はBIが公的に用いられている。同じ患者が医療から介護へ、そしてまた医療へと病状により移行することが常態となっている現在、医療ではFIM、介護ではBI、また医療の中でも急性期医療ではBIが使われているのが実体である。

リハビリテーション業界が広がった今、より分かりやすいBIに統一してはどうか。その結果として診療報酬のアウトカム指標をFIM利得からBI利得へ変えていただけないだろうか。それにより病状の改善状況が、リハビリテーションに関わる全ての人に共通の認識になると考えている。ぜひ2022年度診療報酬改定で「FIM利得」から「BI利得」に変えていただきたいと要望する。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[FIM利得][2022年度診療報酬改定]

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