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【識者の眼】「日本の感染対策の遅れ─評論家など7つの問題点」渡辺晋一

No.5071 (2021年07月03日発行) P.59

渡辺晋一 (帝京大学名誉教授)

登録日: 2021-06-22

最終更新日: 2021-06-22

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日本の感染対策の遅れは、世界と比較するとわかる。例えば日本は人口当たりのワクチンの接種率やPCR検査数は先進国の中で最低レベルである。

①検疫の不備

日本の検疫は極めてお粗末である。日本では法律がないから隔離が守られないと言い訳するが、1年も経つのに法律を作らなかった方が問題である。さらに、隔離は私権制限といって憲法問題にすり替える。日本でも感染力の強いデルタ株の蔓延が懸念されている。

②検査の不備

分科会の医師は感度も特異度も劣る抗原検査で良いというが、PCR検査が世界標準である。ただしPCR検査でも完璧でないため、頻回の検査が必要で、月に2〜3回のPCR検査ではクラスターが発生している。そのため国際スポーツ大会では毎日PCR検査を行っているが、日本では抗原検査に固執する。

③世界に通用しない感染対策

五輪は完璧な感染対策をすれば大丈夫というが、空気感染することが分かっているのに、科学的根拠に基づいた完璧な感染対策が示されていない。またプロ野球でも感染者が発生し、感染対策を指導している医師の質が問われている。実際、世界トップの医学雑誌では日本の五輪時の感染対策が不十分だと指摘している。

④飲食店への補助金

先進国では休業しても良いように、従業員も含め飲食店に速やかな補助金を支給しているところが多いが、日本は違う。一方日本ではポストコロナの利権がらみの予算は多い。

⑤五輪をなし崩し的に強行開催

日本は独立した主権国家なのに、IOCの決定に逆らえないという。しかし五輪開催時期を感染が収まってからではなく、政治的判断で1年延長と決めたのは日本政府である。さらにワクチン接種が行き渡らないまま、感染対策が穴だらけで強行開催するという。まさにGoToトラベルを思い起こさせる。科学的戦略がないまま戦争に突き進んだ戦前の日本のようである。

⑥ゼロコロナを批判

感染者が一人いれば感染は拡大する。そのためゼロコロナを目指すべきであるが、ゼロコロナに対する批判がある。既に1万数千人の死亡者がいるが、それは仕方がないということらしい。

⑦マスコミの責任

人流抑制やロックダウンは、感染抑制に有効で、またPCR検査は感染者の発見に必須であることに十分なエビデンスがある。しかし自分が知らないとエビデンスがないとし、独自の考えを押し付ける評論家がいる。このような人をテレビに出演させ続けるのは危険で、マスコミの責任は重い。

渡辺晋一(帝京大学名誉教授)[新型コロナウイルス感染症]

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