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【識者の眼】「まん延防止等重点措置の効果的な使い方」和田耕治

No.5065 (2021年05月22日発行) P.60

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2021-05-10

最終更新日: 2021-05-10

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まん延防止等重点措置(以下、重点措置)の目的は、緊急事態宣言を出さないで済むようにすることである。当初、関西、宮城県、東京都などに用いられたが、宮城県以外は緊急事態宣言が必要となった。重点措置には期待される効果がないのでは、とする意見もあるので筆者の考えを紹介する。

英国由来の変異株が主流となった3月後半の大阪府では、重点措置の実施前まで実効再生産数は1.5〜2.0の間で高い水準だった。これは変異株の影響と年度末で接触機会が増えたことが背景にある。重点措置の実施による接触機会の減少により実効再生産数は1.1〜1.5程度に下がる効果がみられた。急増は止まったが、実効再生産数が1未満に至る効果は確認されなかった。東京都でも、重点措置の実施後、1を少し超える水準が継続した。

従来株だけなら、早いタイミングの適用であれば、より高い減少効果が得られたかもしれないと考えられる。今後の重点措置の適用に当たっては、変異株の感染力が増していることも考慮して早期のタイミングで実施し、措置の内容については、対象自治体の規模や流行状況を踏まえて、自治体として十分な市民への要請なども組み合わせることが必要である。

重点措置は、合理的な対策であると考えている。自治体の首長は地域、業態、期間を特定して営業時間の短縮や感染対策の強化を講ずるよう要請することができるほか、対象地域の拡大や、市民に追加の要請をすることができる。緊急事態宣言と同じぐらいの要請は重点措置でも首長次第でできる。ただ、データと共感を得られるような魂を込めた説明、そして役所では全庁的な対応、さらに市町村との連携も必要である。

当初想定していた重点措置の使い方とは少し異なるが、今後大都市では、緊急事態宣言後に感染の残り火が残っている地域に重点措置を適用する使い方が考えられる。東京都で今年1月の宣言の後半において、300人程度から感染者が減らなかった際には、いくつかの区で残り火が見られた。その際も宣言中ではあったが、だんだん市民の理解が得られなくなっていた。区を特定することによる弊害はあるが、メリハリをつけた対応として、重点措置に設けられた感染対策が実施ができるような社会になるべきだと考えている。

【参考】

▶BuzzFeed News:地域の「名指し」、合理的な対策のために必要か? 新たな分断を生むのか? まん延防止等重点措置の捉え方を考える

 [https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-wada-19]

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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