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医療・介護総合確保法案に対する3つの疑問─医療提供体制改革部分を中心に [深層を読む・真相を解く(33)]

No.4699 (2014年05月17日発行) P.16

二木 立 (日本福祉大学学長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-03

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  • 安倍内閣は2月12日に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(以下、医療・介護総合確保法案)を閣議決定し、現在国会審議が行われています。この法案は「史上最大」とも言える包括法案で、とても1回の「連載」で検討できません。そこで本稿では、同法案を読んで感じた3つの疑問・懸念を、医療(提供)体制改革部分を中心に述べます。

    19本もの法案を一括するのは国会軽視

    第1の疑問は、医療・介護提供体制を一体的に改革するとの大義名分の下に、合計19本もの法案を一括するのはあまりに乱暴であり、国会の審議権を軽視しているという点です。

    本法案は、昨年12月に成立した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(プログラム法)に規定されていた諸改革の具体化の第一弾とされています。しかし、プログラム法には全くなく、しかも賛否両論がある「医療の安全の確保のための措置に関する事項」(医療法改正)と「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第17条等の特例等に関する法律の一部改正」まで含めるのは「手続き民主主義」に反し、禁じ手です。

    なお、医療制度の包括的改革法の先例としては、小泉内閣時代の2006年に成立したいわゆる「医療制度改革関連法」がありますが、これは「健康保険法等の一部を改正する法律」(7法の改正)と「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」(7法の改正)の2法に分けられ、しかも対象は「医療制度改革」に限定されていました。当時の小泉内閣と現在の安倍内閣の共通点は、与党が両院で圧倒的多数を制していることです。政権が強固なうちに、医療・介護費抑制のための法改正を一気に行うという厚生労働省の手法・習性は一貫していると言えます。

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