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【識者の眼】「女性リーダーの増加を望む」野村幸世

No.5054 (2021年03月06日発行) P.64

野村幸世 (東京大学大学院医学系研究科消化管外科学分野准教授)

登録日: 2021-02-22

最終更新日: 2021-02-22

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2月の頭から、森喜朗前東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の女性蔑視発言が問題になり、後任は橋本聖子元五輪相に決まった。森さんの女性蔑視発言とは「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」というものであった。もしかしたら、蔑視のつもりではなく、単に事象を言ったのかもしれないが、それでも、蔑視と取られかねないことは言ってはいけない。私が米国留学中に知ったことの一つは、米国民は民族や性別などに関する発言には非常に気をつけているということである。

この発言を事象と捉えての一考だが、元来、会議とはその場で話し合うためのものである。ところが、日本の文化には「根回し」というものがあり、会議の場では既に多くのことが決まっている。おそらく女性の文化には「根回し」が少ないのだろう。だとすれば、会議で発言するので、時間がかかるであろう。しかし、それは活発な討議であり、会議の開催者としては歓迎した方がいいのではないかと思う。

私が所属する大学において、私にも一応、学部長選挙や院長選挙の選挙権がある。しかし、ほとんど事前に「投票のお願い」を受けたことがない。「私、失敗しないので」というセリフで有名なテレビドラマ「ドクターX」でも、この手の選挙で根回しに懐柔されない唯一の教授が女性である、という話があったように思う。やはり、女性の文化が今までの日本社会の文化と若干異なることは一般的にも認知されているのだろう。

この異なる文化を融合させることにより、今までの悪しき習慣が改善され、男女共に高め合う社会になってくれることを切望する。そのためには橋本さんのような女性リーダーが増加することが望まれる。

野村幸世(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学分野准教授)[ジェンダーギャップ]

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