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食道癌治療におけるロボット支援下手術の役割について

No.5050 (2021年02月06日発行) P.56

河野浩二 (福島県立医科大学消化管外科学講座主任教授)

亀井 尚 (東北大学大学院医学系研究科消化器外科学教授)

登録日: 2021-02-06

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  • 食道癌に対する手術は,低侵襲手術としての胸腔鏡下でのアプローチが定型化されています。近年では,さらにロボット支援下での手術も普及しつつあります。ロボット支援下でのメリット,デメリット,将来の展望について教えて下さい。
    東北大学・亀井 尚先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    河野浩二 福島県立医科大学消化管外科学講座主任教授


    【回答】

     【精緻な手術が反回神経麻痺等の局所合併症の低減に寄与する可能性がある】

    食道癌に対する根治手術は,いわゆる3領域(頸部,胸部,腹部)のリンパ節郭清と食道亜全摘を原則とします。従来の開胸,開腹手術は手術侵襲が大きく,近年は低侵襲である胸腔鏡,腹腔鏡による内視鏡手術が広く行われるようになっています。2017年のNCD(National Clinical Database)では,食道癌手術の56.1%が胸腔鏡手術で行われていると報告されました。一方,食道癌に対するロボット支援下手術は,2018年4月に保険収載され,症例が蓄積されてきているのがわが国の現状です。

    ロボット支援下手術は米国のIntuitive Surgical社のda Vinci® Surgical Systemを用いた手術です。内視鏡手術の一種ではありますが,安定した3D術野の提供,多関節鉗子,手振れ防止機構などにより,精緻な手術操作が実現できるメリットがあります。デメリットは,触覚の欠如,術野が狭くなりがちで視野外の副損傷のリスクがあること,ロボットアームの干渉,高コストなどが挙げられます。ただし,高コスト以外はいずれも,拡大視効果や術野展開の特徴を理解することで,補完,防止できるものです。

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