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特集:知っておきたい痒疹の鑑別と治療

No.5047 (2021年01月16日発行) P.18

佐藤貴浩 (防衛医科大学校皮膚科教授)

登録日: 2021-01-15

最終更新日: 2021-01-13

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執筆:佐藤貴浩(防衛医科大学校皮膚科教授)

1985年浜松医科大学医学部卒業。91年東京医科歯科大学医学部大学院卒業(医学博士)。ロンドン大学セントジョージ病院細胞分子科学部門研究員,東京医科歯科大学大学院皮膚科学分野准教授などを経て、2012年より現職。

1 そもそも痒疹とは
・痒みの強い丘疹や結節が孤立性に散在してみられる疾患
・湿潤した病変がよくみられる湿疹とは異なる

2 痒疹の分類
・臨床型から「結節性痒疹」「多形慢性痒疹」,そのほかのいわゆる「痒疹」などに分けられる
・原因に基づく分類としては「虫刺」「症候性」「心因性」「妊娠性」「薬剤性」,そして「特発性」などがある

3 代表的な臨床症状
・結節性痒疹では,硬くて大きめの結節が散在してみられる
・多形慢性痒疹では,紅色から褐色の丘疹が高齢者の腰部,背部などに集まってみられる
・そのほかのいわゆる痒疹は,上記のいずれにも該当しないもので,紅色丘疹が孤立性に散在する

4 「痒疹」と思ったときに注意したい疾患
・鑑別疾患として大事なのは「疥癬」と「類天疱瘡」
・疥癬を見落とさないために,指間,手関節,陰嚢,腋窩の病変を必ず観察
・類天疱瘡を見落とさないために,水疱形成,紅斑性病変の有無に注意して日々観察し,経過の中で適宜生検や自己抗体の検索を繰り返す

5 治療
・ステロイド外用から始める
・頑固な結節にはステロイド局所注射や液体窒素療法など
・ステロイド外用に抵抗する結節性痒疹には,あえて活性化ビタミンD3軟膏塗布やヘパリン類似物質クリームを厚く塗擦するなどの方法に切り替える
・紫外線療法は広範囲に病変がみられる例に便利
・内服は鎮静性の弱い抗ヒスタミン薬から始め,増量や併用などを行う
・透析患者や慢性肝疾患患者ではナルフラフィン塩酸塩を使用
・ノイロトロピン®,漢方薬,抗不安薬,SSRIやプレガバリンなども時に試みる
・ただし保険適用外治療もあるので注意
・治療と並行して誘因,悪化要因の検索も忘れずに

6 伝えたいこと
・痒疹の発症病理や免疫学的背景はいまだに不明な部分が多く,また臨床型によって一様でないと推測される
・臨床型の判断に迷う症例は少なからずあり,特に多形慢性痒疹の診断は皮膚科医間でもばらつきがある
・確実に治癒に導ける治療法が確立されているわけではなく,各治療に対する反応性にも個人差が大きい
・積極的に検索を試みても,残念ながら明らかな誘因を見出せないことも多い

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