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うっ血乳頭[私の治療]

No.5044 (2020年12月26日発行) P.43

渡辺敏樹 (ワタナベ眼科院長)

登録日: 2020-12-27

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  • うっ血乳頭は,頭蓋内圧亢進により視神経乳頭部の神経軸索流が停滞し,乳頭が発赤・腫脹・出血する状態を言う。頭蓋内圧亢進を起こす原疾患は,脳腫瘍,脳静脈洞血栓症,特発性頭蓋内圧亢進症など様々である。治療は主に脳神経外科・神経内科などで行う。眼症状は,初期は軽微であるが,頭蓋内圧亢進が改善されず慢性化すると,不可逆的な視機能障害を残す。

    ▶診断のポイント

    うっ血乳頭の病態を理解し,症状,検査より頭蓋内圧亢進を呈する原疾患を特定する。

    【原疾患】

    頭蓋内圧を亢進させる脳腫瘍,脳出血,水頭症,感染症,脳静脈洞血栓症などによる。占拠性病変のない特発性頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍)1)も存在する。特発性頭蓋内圧亢進症の原因は明らかではないが,髄液の吸収障害が起きているのではないかとの説が一般的である。米国では肥満女性に多く,高用量のビタミンA,テトラサイクリン系抗菌薬の投与による症例も報告されている。

    【症状】

    頭蓋内圧亢進の三徴候は頭痛・嘔吐・うっ血乳頭である。その他,耳鳴り,一過性視覚障害(ブラックアウト),複視(外転神経麻痺など)などを認めることがある。眼症状は,初期は軽微であるが,慢性化し視神経萎縮を生じると不可逆的な視機能障害を残す。

    【検査】

    画像検査:頭部CT,MRI,MRAにて脳腫瘍などの頭蓋内病変を検索する。MR venography(MRV)は,脳静脈洞血栓症の検出に有用である。眼窩部MRIでは視神経周囲のくも膜下腔の拡大,眼球後部の平坦化,視神経の蛇行などを認めることがある。

    髄液検査:画像検査にて異常が検出されない場合には,特発性頭蓋内圧亢進症を疑い,脳脊髄液圧(正常値70~180mm H2O)を測定する。

    視野検査:マリオット盲点の拡大を呈することが多い。

    眼底検査:視神経乳頭は,両眼性に発赤・腫脹・出血を認め,境界は不鮮明になる。網膜静脈は拡張・蛇行がみられ,乳頭上の静脈拍動の消失を伴うことがある。長期経過では視神経乳頭は萎縮する。

    光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT):うっ血乳頭の断層像を観察することが可能で,治療効果の判定に使用する。また,偽うっ血乳頭を呈する乳頭ドルーゼンの鑑別にも有用である。

    蛍光眼底造影:乳頭腫脹が軽微で検眼鏡的に判別できない場合に施行する。

    【鑑別疾患】

    視神経炎,虚血性視神経症,視神経周囲炎,原田病,乳頭ドルーゼン,遠視眼での小乳頭,乳頭低形成,高度近視などが偽うっ血乳頭の原因となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    頭蓋内圧亢進を起こす原疾患の治療は,主に脳神経外科,神経内科で行う。脳腫瘍に対する外科的切除,水頭症に対するシャント術,脳静脈洞血栓症に対する抗凝固療法などを施行する。特発性頭蓋内圧亢進に対しては,上述の原因と考えられる薬物を服用していれば中止し,肥満を認めれば減量を行う。薬物療法としては炭酸脱水酵素阻害薬が第一選択となる。その他,浸透圧利尿薬の経口投与を行う。改善が得られない場合,浸透圧利尿薬の点滴静注を考慮する。薬物療法で頭蓋内圧が下降せず,視機能障害が進行するようであればシャント手術などの外科的治療を行う。治療が開始され頭蓋内圧が下降しても,すぐにはうっ血乳頭は改善せず,乳頭腫脹はやや遅れて改善する。眼科では視機能の評価および,眼底検査・OCTなどで乳頭腫脹の状態を経時的に観察する。

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