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■NEWS 新型コロナ治療薬としての「アビガン」承認、継続審議に─「有効性を明確に判断できない」

No.5046 (2021年01月09日発行) P.69

登録日: 2020-12-23

最終更新日: 2020-12-25

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薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会(部会長:清田浩 井口腎泌尿器科・内科新小岩副院長)は12月21日、富士フイルム富山化学が申請している抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の効能・効果追加について審議し、「有効性を明確に判断することは困難」との理由で継続審議とした。この審議結果について富士フイルムホールディングスは「継続審議となったことは非常に残念。早期承認取得に向けて、厚労省、PMDA(医薬品医療機器総合機構)と審議結果を踏まえた対応を協議していく」(広報担当)とコメントしている。

ウイルスの増殖を防ぐメカニズムを有することからCOVID-19への効果が期待されているアビガンについて、富士フイルム富山化学が「非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者」を対象に国内治験(国内第Ⅲ相試験)を開始したのは今年3月。

当初、6月末までの治験終了を目指していたが、緊急事態宣言による国内の感染者数・患者数減少の影響もあって治験は長引き、9月に、アビガン投与で症状の改善を早めることを統計的有意差をもって確認したと発表。この試験結果に基づき10月16日に厚労省に対し承認申請を行った。

■「単盲検」試験による結果に疑義、海外の試験データ提出求める

21日の部会の審議で主に問題とされたのは、アビガン投与の有効性が「ランダム化プラセボ対照単盲検比較試験」で検討された点。ランダムに割り付けられた薬剤がアビガンかプラセボか医師は把握できる「単盲検」の試験だったことが結果に与えた影響について議論し、「有効性を明確に判断することは困難」と結論づけた。

ただ、有効性を否定する根拠もないことから部会は継続審議にすべきと判断。米国やクウェートでダブルブラインド(割り付けられた薬剤が実薬かプラセボか被験者も医師も把握できない二重盲検試験)で行われている臨床試験のデータが追加的に提出されるのを待って、あらためて審議することとなった。

部会の事務局を務める厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課は、審議では単盲検による臨床試験のデータだけでなく、参考資料として提出されたその他のデータも含めてトータルに判断し継続審議という結論に至ったとしている。

■富士フイルム「治験プロトコルはPMDAの合意を得て策定」

富士フイルムホールディングスの広報担当は本誌の取材に対し「企業治験を開始した本年3月は、COVID-19でみられる肺炎症状が急速に悪化する症例があるなど、病態解明がまだ進んでいない時期だった。急速に症状が悪化する患者さんへの救済措置を講じることは治験実施にあたっての倫理的課題でもあることから、医学専門家の意見を踏まえて治験のプロトコル(実施計画書)を策定した」と、単盲検試験での実施を決めた経緯を説明。

「当該プロトコルは、適正プロセスに則ってPMDAに提示し、合意を得たものだ」とし、承認申請に対し審査報告書を作成したPMDAも、当初から単盲検試験での実施に合意していることを強調している。

富士フイルムホールディングスのコメント 本年3月に開始した国内の企業治験にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する「アビガン」の有効性を、主要評価項目において統計学的有意差をもって確認できたにもかかわらず、COVID-19に係る効能・効果などを追加する製造販売承認事項一部変更承認の可否が継続審議となったことは、非常に残念。

企業治験を開始した本年3月は、COVID-19でみられる肺炎症状が急速に悪化する症例があるなど、病態解明がまだ進んでいない時期だった。急速に症状が悪化する患者さんへの救済措置を講じることは治験実施にあたっての倫理的課題でもあることから、医学専門家の意見を踏まえて治験のプロトコルを策定した。当該プロトコルは、適正プロセスに則ってPMDAに提示し、合意を得たものだ。

これまで富士フイルム富山化学は、COVID-19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献すべく、厚労省の要請の下、薬剤提供などを通じて観察研究に協力するとともに、各企業と連携して「アビガン」の増産も進めてきた。観察研究では、既に1000近くの医療機関で、1万人を超える患者さんに「アビガン」が投与されている。

今後、早期承認取得に向けて、厚労省、PMDAと審議結果を踏まえた対応を協議していく。

抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(富士フイルム富山化学提供)

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