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強膜炎,上強膜炎[私の治療]

No.5043 (2020年12月19日発行) P.40

堀 純子 (日本医科大学多摩永山病院眼科教授)

登録日: 2020-12-21

最終更新日: 2020-12-16

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  • 強膜炎は眼球壁を構成する強膜の炎症である。非感染性と感染性があり,わが国では非感染性が圧倒的に多い。非感染性強膜炎の約50%は関節リウマチなどの全身性炎症疾患に随伴する。感染性強膜炎は眼外傷や眼手術部位の感染が契機となる。

    ▶診断のポイント

    強い眼痛と充血が特徴である。顔面への放散痛,視力低下や眼球運動障害を認めることもある。Watson分類では,部位別に上強膜炎,前部強膜炎,後部強膜炎に分類され,さらに形状別に,びまん性タイプ(強膜血管の拡張),結節性タイプ(暗赤色の結節),壊死性タイプ(強膜壊死と菲薄化),に分類される。壊死性タイプは炎症性と非炎症性(強膜軟化症)に分類される。虹彩毛様体炎や角膜周辺部の浸潤や潰瘍の併発もある。後部強膜炎ではBモードエコーおよび眼窩MRIでの後部強膜の肥厚所見,滲出性網膜剝離,乳頭浮腫,脈絡膜剝離を認める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    非感染性では,Watson分類に基づく重症度により治療方針と薬剤を決める。眼局所治療は,0.1%ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼を開始し,反応不良ならタクロリムス点眼を追加するが,免疫抑制薬の点眼は保険適用ではないことに留意する。さらに反応不良ならば,強膜菲薄部を避けてトリアムシノロンアセトニド結膜下注射を行う。疼痛の有無にかかわらず,消炎目的で非ステロイド性抗炎症薬内服も併用する。

    眼局所治療に反応不良例ではステロイド内服を漸減する。ステロイドの減量により再発を繰り返す例やステロイドの副作用により継続が困難な例では,免疫抑制薬の全身投与を併用し,ステロイドを減量していく。

    免疫抑制療法は,全身随伴疾患が関節リウマチの場合はメトトレキサート,ANCA関連血管炎の場合はシクロホスファミドを選択するなど,随伴疾患を念頭に免疫抑制薬を選択することが重要であり,リウマチ内科との連携が必須である。なお,全身性炎症疾患がなく,強膜炎のみの場合に保険適用のある免疫抑制薬はシクロスポリンのみである。壊死性強膜炎と後部強膜炎は重症タイプであるため,初期より眼局所治療のみでなく全身の免疫抑制療法を行う。

    感染性強膜炎は細菌性と真菌性がほとんどである。眼脂培養で起因菌が同定されれば感受性のある薬剤を内服および点眼する。起因菌が不明であれば,複数の抗菌薬点眼を頻回点眼する。眼科手術後に強膜の炎症所見が軽微なまま徐々に強膜菲薄化が進行するsurgically induced necrotizing scleritis(SINS)があり,真菌感染が原因の場合がある。これを疑う例は,抗真菌薬点眼をする。

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