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【識者の眼】「フェムテックが女性の健康的な生活を支援する」柴田綾子

No.5043 (2020年12月19日発行) P.59

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科副医長)

登録日: 2020-12-09

最終更新日: 2020-12-09

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フェムテックとは、女性(female)と技術(technology)を組み合わせた造語で、2013年にドイツの生理管理アプリのCEO(chief executive officer)のIda Tinが考案したものです。近年、市場が急速に拡大し2025年には世界全体で約5兆円の市場規模になると予測され、日本企業では97サービスが展開されています(2020年秋時点)1)。今回は、国内外のフェムテックを紹介します。

1. 月経ケア

月経と基礎体温の記録をすることで次回月経日や妊娠しやすい時期を予測するアプリ、月経前症候群のセルフケア支援などがあります。ウエアラブル基礎体温計や、月経用ナプキンの代わりとしての月経カップや吸収ショーツ、ピルのオンライン診療や内服継続を支援するサービスも出てきました。

2. 健康増進

個人の体調・生理・女性ホルモンの状態に合わせたサプリメント、漢方の選択、乳がん等の遺伝子検査や、卵巣機能補助検査、従来のものより痛みの少ない乳がん検診やAIを使用した子宮頸がん検診などがあります。更年期症状の相談、治療選択の支援、骨盤臓器脱や尿失禁への理学療法をオンラインやデバイスを使用して指導するものもあります。

3. 不妊症

精子の動きを携帯で見られるキット、腟内・子宮内細菌検査、不妊治療(検査、体外受精、卵子凍結など)の検索とマッチング、妊活・不妊治療の検査結果や経過を記録し、専門家への質問や妊活者同士のコミュニティサービスを提供するものがあります。

4. 妊娠、産後ケア

ウエアラブルの胎児・子宮収縮モニター、オンラインでの助産師・産婦人科相談、遠隔妊婦健診、自動搾乳機、オンラインでの授乳支援、アプリを使った産後メンタルヘルスケアサービスがあります。妊娠中ケアのアプリやSNSの効果を調べたメタアナリシスでは、体重管理、妊娠糖尿病、喘息、メンタルヘルスの効果が報告されています2)

5. 性の健康

避妊法(コンドームやピル)の配送、性感染症の検査キットと結果の通知、女性向けのセルフプレジャーキット、性機能障害やセックスセラピーの専門家相談や性教育サービスがあります。

フェムテックは大きな可能性を秘めている一方で、医学的なエビデンスが確立していない領域もあり注意も必要です。上手く活用することで、女性の健康的な生活を支援できると注目しています。

【文献】

1)fermata株式会社. フェムテックマーケットマップ. [https://note.com/hellofermata/n/n67de6061b478]

2)Chan KL, et al:JMIR Mhealth Uhealth. 2019;7(1):e11836.

柴田綾子(淀川キリスト教病院産婦人科副医長)[女性のヘルスケア]

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