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【識者の眼】「抗菌薬使用量の地域差」具 芳明

No.5042 (2020年12月12日発行) P.60

具 芳明 (国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター情報・教育支援室長)

登録日: 2020-12-02

最終更新日: 2020-12-02

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レセプト情報に基づく2019年までの抗菌薬使用量サーベイランスの結果がこの10月に公開された(http://amrcrc.ncgm.go.jp/surveillance/010/20181128172333.html)。主な結果はグラフで公開されており、大変興味深いものとなっている。

今回はその中でも都道府県別の抗菌薬使用量に注目したい。都道府県によって人口あたりの抗菌薬使用量が異なることは知られているが、2019年のデータでも、抗菌薬総使用量が最も多い大分県は最も少ない岩手県のおよそ1.5倍に及んでいる。そして、全体に西高東低の傾向がみてとれる(例外はある)。もちろん単純に少なければよいというものではない。高齢化率や疾患の分布の違いが影響している可能性は容易に想像されるし、医療供給体制が関連している可能性も考えられる。地域差が生じている要因は今後分析を進めていく必要がある。

抗菌薬の種類も地域によって異なっている。たとえばペニシリン系抗菌薬の使用量は沖縄県が際立って多い。臨床感染症の教育に長い歴史を持つ県だからこそかもしれない。薬剤耐性(AMR)対策の観点からは、使用されている抗菌薬の量だけでなく種類も重要である。それぞれの地域で把握して取り組みが進むことを期待したい。

AMR対策アクションプランでは抗菌薬の使用量を減らす目標を立てており、中でも経口セファロスポリン・マクロライド・フルオロキノロンは特に高い目標となっている。この3種類の2013年比の使用量をみると全都道府県で減少している。これは全国の医師が処方を見直した結果と思われる。しかし、都道府県によってその減少には差がある。もっとも減少幅が大きいのは新潟県、小さいのは和歌山県である。地域ぐるみの取り組みが功を奏しているのか、あるいは他の要因があるのか興味深いところである。

AMR対策には地域単位での取り組みが重要とされている。今回みえてきた都道府県間の差からも、それぞれの地域の特徴に応じた対策の必要性がみてとれるのである。

具 芳明(国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター情報・教育支援室長)[AMR対策]

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