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■NEWS 21年度の薬価改定実施は慎重な検討を―薬価部会で製薬3団体が意見陳述

登録日: 2020-11-27

最終更新日: 2020-11-27

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中央社会保険医療協議会薬価専門部会は1125日、2021年度薬価改定について関係業界からのヒアリングを実施した。業界は薬価調査が新型コロナウイルス感染症影響下の特殊な状況で行われたことや、医薬品の臨床開発に遅延が出ていることなども考慮し、薬価改定の実施に改めて慎重姿勢を示した。

ヒアリングには、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会の製薬3団体が出席。日本医薬品卸売業連合会は、医薬品納入に関する入札で東京地検などの捜索を受けたことを理由に意見陳述を辞退し、関係資料の提出のみにとどめた。

ヒアリングで製薬3団体は、新型コロナは医薬品の流通だけでなく、臨床試験の一時中断や遅延など、医薬品の臨床開発にも大きな影響を及ぼしていることを強調。新薬の上市時期の遅れによる中長期的な業績悪化や、革新的新薬へのアクセス遅延につながりかねないとの危機感を示した。その上で、21年度の薬価改定については、▶今回の薬価調査で販売サイドは23の抽出調査であったために実際の市場実勢価格との間に必然的に誤差が出る、▶今回の薬価調査は新型コロナの影響で医薬品取引が平時とは大きく異なる状況下で実施された、▶新型コロナの対応に追われている医療機関、薬局の薬価改定に伴う負担に配慮すべき―などの理由から、慎重に検討することを求めた。

業界の主張に診療側の委員は概ね賛意を示したが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「製薬企業、卸が大変な状況にあると言うが、もっと大変な影響を受けている企業はたくさんある。日本が危機的な状況に陥っている今だからこそ、国民負担の軽減に取り組むべきではないか」と反論した。

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