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特集:眼瞼痙攣,片側顔面痙攣のボトックス治療

No.5033 (2020年10月10日発行) P.18

清澤源弘 (清澤眼科医院院長)

登録日: 2020-10-09

最終更新日: 2020-10-07

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清澤眼科医院院長。1953年,長野県生まれ。東北大学医学部卒,同大学院修了。1986年,仏原子力庁,翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院にフェローとして留学。92年,東京医科歯科大学眼科助教授。2005年から現職。日本眼科学会専門医,日本神経眼科学会理事など。

1 眼瞼痙攣,片側顔面痙攣のボトックス治療の目的と鑑別
・A型ボツリヌス毒素(BTX)治療は,根治療法ではない。症状を緩和させることによって患者のquality of life,quality of visionを改善することが目的。
・施注には資格を要する。
・眼瞼痙攣,片側顔面痙攣の原因および症候は異なる疾患。発症初期には鑑別が困難な症例が存在する。片側顔面痙攣の原因には腫瘍や動脈瘤も含まれるため,2つの疾患の鑑別は重要。
・BTXの施注部位や施注量,効果の持続にも違いが生ずる。

2 眼瞼痙攣と片側顔面痙攣の症候と診断
・眼瞼痙攣は,運動性症状のほか,感覚症状・精神症状も起こすことが特徴。
・片側顔面痙攣は,眼周囲の軽度の痙攣から発症し,周囲の顔面神経支配筋へ痙攣が進展,増悪する。
・眼瞼痙攣の診断には,「眼瞼痙攣調査質問表」,「随意瞬目テスト(誘発テスト)」,「米国国立精神保健研究所疫学的うつ尺度(CES-D)」を用い,全身性疾患,眼科疾患の服薬歴,治療歴の聴取も必須。
・片側顔面痙攣ではCISS法による頭部MRIの撮像が必須。

3 眼瞼痙攣と片側顔面痙攣におけるBTX治療
・BTX治療は筋肉を緊張させている神経の働きを抑制し,特定部位の筋緊張を緩和する。
・眼瞼痙攣の治療ではBTX治療が第1選択。片側顔面痙攣においても症状緩和を希望する場合には,主要な選択肢。
・対症療法であること,効果の出方,全身性の合併症,費用の説明等,事前の説明が重要。
・BTXの手順は次のとおり。
 ①同意書を取得し,施注に伴う疼痛,出血等の説明,場合によっては事前の疼痛対策。
 ②自覚症状・瞬目テストの結果を参考に,施注部位,施注箇所を患者と相談の上で決定。
 ③細めの注射針で浅めに,全体を速やかに終えるよう施注,疼痛を最小限に抑える。
 ④施注箇所の速やかな止血で出血と浮腫も最小限に。
 ⑤終了後の薬液は0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加え,薬液の触れた器具類とともに失活させ,密閉廃棄。
・観察期間と施注スケジュールは,初回は①翌日から2~3日後,②1週間後,③5週間後(翌月),2回目以降は,1週間後,5週間後での経過観察。
・合併症が出た場合には,必ず受診するよう伝える。
・再施注は8週間以上の間隔で,それ以降は患者の希望と「瞬目テスト」を指標に再施注。
・患者自身の自己観察と,「瞬目テスト」の評価と併せて施注間隔,施注量をカスタマイズ。
・BTX治療無効例,効果減弱例には,薬剤治療等,他の治療の併用,または移行。

まとめ
・いずれの疾患も患者にとっては非常につらいもの。
・適切な診断のもと,患者と話し合いながら,それぞれにカスタマイズしたBTX治療を。
・無効例,減弱例でも患者に寄り添いながら,他の治療法を試みていくべき。

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