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【識者の眼】「諸外国における介護施設のコロナ禍発生状況」川越正平

No.5031 (2020年09月26日発行) P.54

川越正平 (あおぞら診療所院長)

登録日: 2020-09-09

最終更新日: 2020-09-09

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コロナ禍の拡大に伴い、介護施設でクラスターが多発し多数の死者が出た。国際介護サービス政策ネットワークという国際組織が6月26日に公開した「介護施設におけるCOVID-19に関する死亡」1)をもとに行った考察を報告する。

諸外国のCOVID-19関連死亡者に占める施設入居者の割合はおしなべて高く(図1)、平均で47%にのぼっている。施設入居者のCOVID-19関連死亡率と人口100万人当たりの死亡者数をあわせて検討すると、感染蔓延状況を図2のように4グループに分類できる。

ハンガリー、オーストリア、ドイツの第一グループは、死者数を比較的少なく押さえ込むことができて、死者に占める施設入居者の割合も4割未満にとどまった国である。ノルウェー、スロベニア、カナダの第二グループは、第一グループと同様に死者数は少なめだったものの、死者に占める施設入居者の割合は59〜85%に至った。一方、人口100万人当たり死亡者数が300人を超えるに至った国々を、アイルランド、フランス、スウェーデンの第三グループと、600人超に及んだ第四グループに分類した。後者に分類されるスペインは6.1%もの施設入居者が死亡するに至っており、イギリスやベルギーは介護施設に加えて市中感染でも数多く死亡した国である。

我が国の死者に占める施設入居者の割合は10数%程度との粗い集計がある。人口100万人当たり死亡者数や施設入居者のCOVID-19関連死亡は、欧米諸国に比べ少数にとどまった。今後の感染拡大に向けての対策を講じるにあたっては、介護施設への侵入をできる限り防ぐ方策や、発生を早期に把握して巨大なクラスターへの発展を阻止する手立てなど、複数の対策を幾重にも折り重ね備えておく必要がある。

【文献】

1)Article in LTCcovid.org, International Long-Term Care Policy Network, CPEC-LSE, 26 June 2020.

川越正平(あおぞら診療所院長)[新型コロナウイルス感染症][介護施設]

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