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【識者の眼】「地域ケア会議におけるCOVID-19対策の議論」川越正平

No.5027 (2020年08月29日発行) P.57

川越正平 (あおぞら診療所院長)

登録日: 2020-08-11

最終更新日: 2020-08-11

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本年7月30日に予定されていた地域ケア会議を開催するに当たり、コロナ禍によって突きつけられた課題を振り返るとともに、今後の取り組みについて話し合う機会に位置づけるこなった。

開催に向けて、28名の委員に対してコロナ禍に直面して感じた課題、取り組み、検討したい論点等についてアンケートを実施した。その際、個人としてではなく、委員が所属する職能団体や事業者団体、市民組織等の意見を集約する形で回答をお願いした。その結果を踏まえ、当日は「生活確保」「健康維持」「受診対応」「感染防護」「発生対応」の5つの柱に沿って進行した。

まず、買い物難民の出現やサロン・こども食堂等の運営休止という事態を受けて、いわゆるフードドライブの活躍やお弁当の配布、タクシーによるデリバリーで飲食業界を支援する市独自事業「まつタク出前便」などの取り組みが共有された。また、特別定額給付金の給付率が7月29日時点で91.3%に留まっており、申請期限1カ月前の時点で約2万1000世帯がまだ給付を受けていない。申請手続きが“できない世帯”が存在するなら、間違いなくハイリスク世帯と認識すべきであり、市庁舎を挙げてそれらの世帯に介入するべきだと話し合った。

次いで、外出自粛や介護等サービスの休止によって、フレイルが進行した高齢者が少なからず生じている。訪問以外の支援方法として、電話を用いた定期的なモニタリング方法や集合形式以外の交流、学びの機会創出について話し合われた。市民のITリテラシ−向上を誘導しつつ、Web形式で体操教室を開催するという話題では特に盛り上がった。

診療現場においても、電話診療やオンライン診療、ICTを用いた退院時共同指導、サービス担当者会議の効果的な開催方法について話し合われたが、医療介護従事者のITリテラシー向上やWeb会議開催のためのインフラ整備が今後の鍵となる。介護現場においては、標準予防策を適切に遂行できているかの教育介入や、居住型施設におけるゾーニング実地指導、感染防護具の備蓄や共同購入システム等について、議論がなされた。

当地でも大規模な介護クラスターを経験した。地域において情報不足により生じた混乱や不安、さらには風評被害も実際に発生した。発生に関する今後の情報の一元化と適切な共有方法、同業他社によるサービス補塡や応援支援体制の構築が話し合われた。

以上、地域の課題を抽出し解決策を検討する地域ケア会議の本来的な機能を果たす貴重な機会となった。

川越正平(あおぞら診療所院長)[地域ケア会議][新型コロナウイルス感染症]

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