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特集:“メタボ対策”から“フレイル対策”へのギアチェンジ─私の実践

No.5021 (2020年07月18日発行) P.18

吉村芳弘 (熊本リハビリテーション病院サルコペニア・低栄養研究センター長/リハビリテーション科副部長/栄養管理部長)

登録日: 2020-07-17

最終更新日: 2020-07-15

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2001年熊本大学医学部卒業。日本サルコペニア・フレイル学会:理事,学会誌編集委員長,2017年度版サルコペニア診療ガイドライン作成委員,日本リハビリテーション栄養学会:理事,2023年度版リハ栄養診療ガイドライン統括委員長など

1 なぜフレイルか? ─生物学的寿命と健康寿命を考える
・わが国の平均寿命は,男性81.25歳,女性87.32歳である(2018年厚生労働省調べ)。
・2020年7月現在において最新の報告である2016年の「健康寿命」は,男性72.14歳,女性74.79歳であり,同年の平均寿命(男性80.98歳,女性87.14歳)と比較しても約10年の乖離がある。
・超高齢社会の医療として,“疾患モデル”から“高齢者モデル”へのパラダイムシフトが求められている。

2 「フレイル」は健康長寿の最重要ワード
・フレイルは,加齢に伴い様々な臓器機能変化や予備能力の低下が起こり,外的ストレスに対する脆弱性が亢進した状態で,種々の障害(日常生活自立度低下,転倒,独居困難,合併症増悪,入院,死亡など)に陥りやすくなった状態である。
・フレイルには身体的フレイル,認知的フレイル,社会的フレイル,オーラルフレイルなどがある。
・身体的フレイルには,加齢による骨格筋量の減少や食思不振による慢性的な低栄養などが相互に影響している(フレイルの発生サイクル)。
・フレイルの発生サイクルに影響する要因について,様々な側面から改善可能なアプローチを施し,悪循環を断ち切ることが必要となる。
・多くの要因の中でも,サルコペニアと低栄養が身体的フレイルの中核要因である。

3 フレイル健診
・厚生労働省は,「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」を策定し,2020年4月より75歳以上の後期高齢者を対象にフレイルに特化した健診を開始した。
・健康診査で後期高齢者に質問票を用いた問診を行い,特性をふまえた健康状態を把握すること(≒フレイルのスクリーニング)が主な目的である。
・問診の内容は10種類15項目である。

4 フレイルの同定
・フレイルの予防と介入のためには,スクリーニングだけで終わるのではなく,医学的なフレイルの同定が必要である。
・診療ガイドラインでは,「妥当性が検証されたツールでフレイルを診断する」ことが強く推奨されているが,フレイルの診断基準は必ずしも統一されていない。
・わが国では,介護予防事業で用いられている基本チェックリストの質問を取り入れた日本版CHS基準(J-CHS基準)が提唱されており,その妥当性も示されている。

5 フレイルの予防・介入
・サルコペニアと低栄養がフレイルの中核因子であるため,予防と介入はこれらに対する運動療法や栄養療法が主になる。
・フレイルに対する運動介入は,歩行,筋力,身体運動機能,日常生活活動度を改善し,フレイルの進行を予防しうるため推奨される。
・栄養教育,栄養補助食品による単独介入の効果は弱く推奨される。
・不適切または不要な薬物を減少または中止することで,ポリファーマシーに対処することも重要である。

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