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スティーブンス・ジョンソン症候群(眼所見)[私の治療]

No.5020 (2020年07月11日発行) P.47

重安千花 (杏林大学医学部眼科学非常勤講師)

登録日: 2020-07-13

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  • スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS,皮膚粘膜眼症候群)は,突然の高熱に伴い眼粘膜,口唇などの皮膚粘膜移行部に重症の粘膜疹を生じ,皮膚の紅斑と表皮の水疱や剥離などの壊死性障害を認める疾患である1)。全身の水疱やびらんが体表面積の10%未満であるものをSJSとし,10%以上は中毒性表皮壊死融解症(toxic epidermal necrolysis:TEN)とされる。原因として薬剤性が多いが,マイコプラズマやウイルス等の感染に伴い発症することもある。

    ▶診断のポイント

    副所見を考慮の上,主要所見5項目をすべて満たす場合,SJSと診断する。急性期には50~70%に眼症状がみられ,急性結膜炎は皮膚病変とほぼ同時に,あるいは皮膚病変より半日~2日程度先行して生じるため診断しづらいことも多い。発熱を伴い,時間単位で急速に進行する皮疹および眼病変を生じた場合は,緊急的に専門医に相談を要する。また,薬剤性が疑わしい場合は,原因が確定するまで使用した抗菌薬を避ける必要がある。

    【主要所見】

    ①皮膚粘膜移行部の広範囲で重篤な粘膜病変がみられる,②皮膚の汎発性の紅斑に伴って表皮の壊死性障害に基づくびらん・水疱を認め,軽快後には痂皮,膜様落屑がみられ,表皮剥離は体表面積の10%未満である,③発熱,④病理組織学的に表皮の壊死性変化を認める,⑤多形紅斑重症型を除外できる。

    【副所見】

    ①皮疹は非典型的ターゲット状多形紅斑,②眼病変では偽膜形成と眼表面上皮欠損のどちらか,あるいは両方を伴う両眼性の急性結膜炎がみられる,③全身症状として他覚的に重症感,自覚的には倦怠感を伴い,口腔内病変のため摂食障害を伴う,④自己免疫性水疱症を除外できる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    急性期の眼所見では,結膜充血,偽膜形成,眼表面の上皮欠損の有無が重症度の評価項目である。眼粘膜障害は重篤な視力障害などの後遺症を生じる可能性があり,急性期に十分な消炎を行い,角膜上皮幹細胞を温存しつつ,二次感染を防止する必要がある2)。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)やメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis:MRSE)が検出されやすいため,監視培養を続けることが望ましい。また,ステロイド点眼を使用するため,眼圧の管理にも十分注意する。皮疹の程度が軽度であっても眼所見が重度の場合は,ステロイドパルス治療が有効であり3),全身管理を含めて皮膚科と連携する。慢性期の後遺症としては視力障害とドライアイである。急性期の炎症により広範囲に角結膜上皮欠損を生じ,幹細胞が消失した場合,不透明な結膜が角膜表面に伸展し,視力障害を生じる。また,涙腺導管の閉塞,マイボーム腺の障害によるドライアイも生じる。慢性期において無症候性のMRSAを検出することがあり炎症を悪化させるため,慢性炎症と感染の発症予防の管理が必要である。

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