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【識者の眼】「保険医になるのだから医師国家試験に保険診療の問題が必要」工藤弘志

No.5017 (2020年06月20日発行) P.64

工藤弘志 (順心病院サイバーナイフセンターセンター長)

登録日: 2020-06-01

最終更新日: 2020-06-01

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医学部の学生時代には保険診療のことを全く知らないのに、医師国家試験に合格した直後から保険医となり、長い間、保険医療機関で働くということを全く意識していませんでした。しかし遅きには失していますが、指導医療官として働いてみると、問題のある制度だと痛感するようになりました。

厚生局は集団指導時に『保険診療の理解のために』等の保険診療を正しく理解するための小冊子を配布していますが、これは“すでに保険診療についてはご存じだとは思いますが、正しく理解していただくための冊子ですよ”という意味で配布しているようです。出席者の多くは、恐らく保険診療というものをあまりよく知らないのだよなあ、と自分自身のことを考えながら後方で事務方の配布する様子を眺めていました。

健康保険法第64条では、保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師は厚生労働大臣の登録を受けた医師(保険医)でなければならない、と謳われています。病院であろうと診療所であろうと、保険医療機関である限り、そこで働く医師は保険医、つまり保険診療とは何かを知った医師でなければならないということになります。しかしながら、そうではない医師もいることは事実です。では、どうすればよいのでしょうか。

例えが適切かどうかはわかりませんが、車の免許で、交通法規を勉強した後に試験に合格して免許証をもらうことを考えると、医師国家試験に合格して初めて保険医になる(保険医登録票をもらう)のであれば、それ以前に、保険診療とはどういうものかということを学ぶことが必要ではないか、さらに保険診療に関する問題が国家試験に出題されて、それに合格した者が保険医になるということでスッキリするのではないか、と個人的には考えています。

工藤弘志(順心病院サイバーナイフセンターセンター長)[保険診療雑感⑥]

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