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微弱陣痛・遷延分娩[私の治療]

No.5011 (2020年05月09日発行) P.63

田中宏和 (香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学准教授)

登録日: 2020-05-11

最終更新日: 2020-04-30

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  • 微弱陣痛とは,陣痛が自覚的,あるいは他覚的に微弱で,発作の持続時間が短く,かつ周期が長く分娩が進行しない状態をいう。その定義は,子宮内圧・陣痛周期・陣痛持続時間により規定されている。遷延分娩の定義は「陣痛開始後初産婦で30時間,経産婦で15時間を経過しても娩出に至らないもの」1)とされる。

    ▶診断のポイント

    微弱陣痛については,子宮内圧計測を行う施設はほとんどなく,「子宮口が9cm以上の場合陣痛周期が4分以上(経産婦では3分30秒以上),陣痛持続時間が30秒以内」というように,一般には子宮口開大度と陣痛周期・陣痛持続時間の関係で評価される2)。遷延分娩に関しては,実地臨床において上記の定義にこだわらず,予測も含めた判断がなされることも多い。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    遷延分娩(いわゆる難産)に遭遇したときの基本は,分娩の3要素を考えることである。胎児の大きさ・胎位・胎勢(passenger)は問題ない。産道(passway)の問題はない。つまり狭骨盤や扁平骨盤等,骨産道の異常はなく,軟産道強靱もない。さらにはpassengerとpasswayの関係より児頭骨盤不均衡(CPD)が否定されているならば,残りは娩出力(power)である。娩出力は「陣痛」と「腹圧」であるが,分娩の経過上問題になるのは陣痛であり,微弱陣痛が遷延分娩の原因となることは比較的多い。

    微弱陣痛が疑われる場合,まず膀胱・直腸の充満による原因を排除する。母体疲労が強く水分摂取が不十分な場合,輸液を行う(緊急帝王切開を要する可能性を考慮して,積極的な飲水は勧めていない)。

    微弱陣痛による遷延分娩と判断した場合の対応は,分娩の進行状況により異なる。分娩第1期潜伏期であって,母児に余裕があれば待機的に経過をみる。一方,分娩第1期活動期もしくは分娩第2期であれば,子宮収縮薬を使用して陣痛促進を行う。分娩第2期で十分に児頭が下降している場合には,積極的に経腟急速遂娩術を行う。

    子宮収縮薬を使用する場合,初期から規則的で協調性の子宮収縮を得やすく,また,通常の使用量では副作用はほとんど認められず3),禁忌となる合併症も稀であるオキシトシンを使用することが多い。筆者の施設では,プロスタグランジンE2錠(ジノプロストン)は調節性に欠けるため使用していないが,子宮頸管が硬い場合には有効な方法と考えられる。

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