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【識者の眼】「研究における患者・市民参画とは」猪俣武範

No.5008 (2020年04月18日発行) P.66

猪俣武範 (順天堂大学医学部眼科学教室、戦略的手術室改善マネジメント講座、病理管理学、准教授)

登録日: 2020-04-15

最終更新日: 2020-04-14

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医学における研究とは、医学的課題を解決するために必要不可欠であるとともに、将来の医療に向けて技術革新の芽を育てるという重要な役割を持ちます。この医学研究や臨床研究において、患者・市民参画(public and public involvement:PPI)が推進され始めていることをご存知でしょうか?

このPPIとは、医学研究、臨床研究プロセスの一環として、研究者が患者・市民の知見を参考にすることと、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)では定義されています。
この患者・市民とは、患者、家族、元患者(サバイバー)、未来の患者が想定されています。ここで注意が必要なのは、PPIとは研究者と患者・市民の対話の場であり、研究参加者を募集する場でも、研究を広報する場でもないということです。

私が現在主導しているスマホアプリの花粉症アプリ「アレルサーチ」(http://allergy- search.com)を用いた研究では、アプリの開発、研究計画の立案、収集したデータの解析、研究結果の公表まで、一貫したPPIを目指して研究を進めています。花粉症は患者・市民の生活環境・習慣に密接に関わる疾病であるため、診療の質の向上には、PPIによる多角的な視点を取り入れながら研究を実施することが重要だからです。
研究の効果的な推進と社会構築を行うためには、国民一人一人の貢献を重要視し、産学官民の力を集結し研究開発を進められる仕組みをつくること、そして患者を含む国民が参画して得た研究成果を、社会へと効果的に還元することが重要です。

※上記はAMED患者・市民参画ガイドブック〜患者と研究者の協働を目指す第一歩として〜を参考に執筆しています。

猪俣武範(順天堂大学医学部眼科学教室、戦略的手術室改善マネジメント講座、病理管理学、准教授)[患者・市民参画]

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