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特集:新型タバコ時代の禁煙支援・禁煙指導 ─現状を知ることから始めよう

No.5006 (2020年04月04日発行) P.18

田淵貴大 (大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部副部長)

登録日: 2020-04-03

最終更新日: 2020-04-01

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専門は公衆衛生学・疫学(医師・医学博士・社会医学系専門医・指導医)。血液内科医を経て,医学博士取得後,現職。近著に「新型タバコの本当のリスク」

1 新型タバコ時代到来!
加熱式タバコの中でもアイコスが最も普及している。2016年10月時点,アイコスの販売は世界シェアの96%をわが国が占め,最近でも80%以上を占める。すなわち,世界でわが国がアイコスの実験場となっている。

2 電子タバコによる急性肺障害(EVALI)
米国疾病予防管理センター(CDC)により,2019年12月3日までに,電子タバコによる急性肺障害(EVALI)での入院例2291人,EVALIによる死亡症例48人(年齢中央値は24歳)が報告された。病態は単一ではなく,リポイド肺炎,急性好酸球性肺炎や間質性肺炎,過敏性肺臓炎などが報告されている。わが国でも同様に加熱式タバコ版EVALIが起きているようだ。

3 タバコ会社の広告で多くの人が誤解した!?
多くの人は,タバコ会社の広告を見て,新型タバコに変えると「病気が減る」,さらには,「ほとんど病気にならない」と誤解しているのである。

4 新型タバコの健康影響!?
新型タバコ(加熱式タバコおよび電子タバコ)から発生するエアロゾルは,単なる水蒸気ではなく,紙巻きタバコと同様に多くの有害性物質を含んでいる。
知見を総合すると,加熱式タバコを吸っている人のリスクは,紙巻きタバコよりも低いとは言えない。米国の専門家8人が「紙巻きタバコからアイコスに切り替えても,タバコ関連疾患リスクを減らせない」と回答した。

5 新型タバコ時代の禁煙
新型タバコ時代の禁煙とは,新型タバコも含めたすべてのタバコをやめ続けることである。「禁煙し続けてもらう」のは大変なことであり,医療者は禁煙支援・禁煙指導を継続的に繰り返し実施していく必要がある。

6 禁煙支援・禁煙指導のための基礎知識
(1)新型タバコを吸っている理由
(2)強化されるニコチン依存
(3)現実に起きていることに注目すべき

7 タバコをやめ続けてもらうために必要なスキル
ニコチン依存から脱出するために最も必要なスキルは,医療者と患者が「知る」ことである。禁煙の場合にはタバコの害やタバコを吸わないメリット(禁煙で人を喜ばせることができ,そして自分が幸せになること),喫煙者はタバコ会社に搾取されていること(世界がタバコ会社によって歪められている現実),タバコから逃げる方法(人に勧められたときの断り方など)について知ってもらわなければならない。

8 医療者のあるべき姿をめざして─タバコ問題を自分のことに
もし,医療者が禁煙を勧めなければ,患者の健康・幸福を守る姿勢とは大きく乖離する。タバコ問題を自分のこととして関心を持ち続けなければ,きちんと理解することはできない。
医療現場においても,皆さんのエフォートを禁煙支援・禁煙指導に少しだけ割いて頂き,協働して新型タバコ時代の対策に取り組んでいきたいと考えている。

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