高齢者施設でできる感染制御マニュアル【電子版付】
平常時の対応から押さえておきたい感染症まで
高齢者施設の医療職・非常勤医師のために、施設での感染対策の基本を1冊にまとめました!
目次
Ⅰ総論 感染症発生時の対応
①感染症の発生状況の把握
②感染拡大の防止
③行政への報告
④施設の特殊性と感染対策
⑤標準予防策
⑥感染源対策
⑦感染経路別予防策(空気感染・飛沫感染・接触感染対策)
⑧ゾーニング
⑨個人防護具
Ⅱ各論 感染症と感染対策
①呼吸器感染症
ⅰ インフルエンザ/ⅱ マイコプラズマ感染症/ⅲ 百日咳/ⅳ 誤嚥性肺炎/ⅴ 結核/ⅵ ヒト・メタニューモウイルス/ⅶ RSウイルス/ⅷ 水痘・帯状疱疹/ⅸ 麻疹
②消化器感染症
ⅰ ノロウイルス/ⅱ クロストリジウム・ディフィシル感染症
③皮膚感染症
ⅰ 疥癬
④耐性菌感染
ⅰ MRSA/ⅱ バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)/ⅲ 多剤耐性緑膿菌(MDRP)
補足
平常時の環境の整備
血液・体液の処理
序文
わが国では1980年代に入り、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の分離率が増加し、このころから院内感染が問題となってきた。これを受け、院内感染を取り扱う学会として日本環境感染学会が1985年に設立された。また、2000年1月にはICD協議会によりインフェクション・コントロール・ドクター(ICD)の制度とインフェクション・コントロール・ナース(ICN)の制度が構築され、感染制御の専門家が育成されることとなり、インフェクション・コントロール・チーム(ICT)が発足した。さらに、2012年4月の診療報酬改定により感染防止対策に関する加算が一部変更となり、病院内での感染対策は充実してきた。しかし、それでも院内感染は制御しきれておらず、発生が後を絶たない現状がある。
一方、高齢者施設などの病院外施設においても、インフルエンザやノロウイルスの施設内感染が毎年のように発生している。これらの施設では、医師や看護師などの医療職は限られた人数しかなく、感染対策の専門家でもない場合がほとんどである。しかし、高齢者施設においては医療職のみならず、介護職員などの直接に利用者と接触する職員にとっても、感染制御に関する知識・技術は必要不可欠なものである。
そのような高齢者施設に携わるすべての方に感染対策の基本、そして高齢者施設での特殊性を理解していただき、日常の診療・介護に役立てていただきたく、今回、高齢者施設のおける感染対策の本を上梓した。執筆いただいたのは、感染症診療・感染対策の専門家であり、また施設での診療経験豊富な方々である。この本が、高齢者施設で活用され、少しでも施設内感染の抑制に役に立てば幸いである。
2018年10月
吉田正樹