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慢性疾患患者の継続診療で見落としを避ける「診断戦略」─いつもみている患者の異常を拾い上げるために[プライマリ・ケアの理論と実践(56)]

No.5005 (2020年03月28日発行) P.10

水本潤希 (愛媛生協病院家庭医療科)

登録日: 2020-03-26

最終更新日: 2020-03-25

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SUMMARY
プライマリ・ケアではその継続性ゆえに診断エラーが生じることがある。定期通院患者の緩徐な変化は見落とされやすいことを認識し,意図的に他者の眼(疑似的なものを含む)を通すことが有用である。

KEYWORD
診断遅延(delayed diagnosis)
プライマリ・ケアでは診断遅延が発生しやすく,その理由としては,患者がまず受診する場であること,あらゆる年齢層の様々な患者がやってくること,ある程度リスクを包含した診療となることなどが挙げられている1)

水本潤希 (愛媛生協病院家庭医療科)

PROFILE
診療所と病院を行き来する家庭医をめざし奮闘中。2015年愛媛生協病院初期研修開始。2017年医療福祉生協連家庭医療後期研修レジデンシーせとうち専攻研修開始。2020年4月より東京大学大学院医学教育学博士課程進学(執筆時は予定)。

POLICY・座右の銘
You must crawl before you walk.

1 ケース

CASE 1:車いすで診療所に通院する高齢男性

数年前より徐々にADLが低下しており,在宅生活を支えるため介護サービスの導入や家族へのアドバイスなどを行っていた。頻尿があったが,前立腺肥大によるものと考えていた。あるとき,それまで何回も目にしていたはずの両上肢筋萎縮が気になった。その瞬間,患者は頸椎症性脊髄症であり,歩行困難は痙性歩行,排尿障害は神経因性膀胱であることに思い至った。

CASE 2:多疾患併存のある高齢女性

軽度の正球性貧血があるが,血液検査では原因が分からず,鉄剤やビタミン剤を用いても改善がなかった。肺炎を発症し近隣病院の総合診療科に紹介する際に,貧血の精査をあわせて依頼したところ,多発性骨髄腫が明らかとなった。

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