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【識者の眼】「日本敗血症連盟(Japan Sepsis Alliance:JaSA)の結成」小倉裕司

No.5000 (2020年02月22日発行) P.47

小倉裕司 (大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター准教授)

登録日: 2020-02-21

最終更新日: 2020-02-20

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敗血症は、“臓器障害を伴う重症感染症”と定義され、世界全体で年間5000万人近い患者が発症し、うち1000万人以上が死亡すると言われています(2017年)。また、たとえ命は助かっても、長期間の介護・療養を要し、経済的喪失も大きく、例えば米国の敗血症治療に費やす医療費は年間200億ドル(2兆円)を超え(2011年)、すべての疾患の中で最も高額の医療を必要としています。しかも、乳児から高齢者まであらゆる年齢層が罹患する重篤な疾患であり、その社会的影響は計り知れません。

敗血症は、発症早期から一刻を争う適切な全身管理を必要とするため、診断の遅れや不適切な対応は死に直結します。その一方で、敗血症は時に診断が難しく、また急速に重症化するため、いかに早く敗血症に気づき、適切な診断・治療に繋げられるかがとても重要な鍵を握ります。

しかしながら、国内における一般市民の敗血症に関する認知度は低く、社会的にも十分な広報活動や啓発活動が行われておらず、一般家庭では敗血症に対する気づきや初期対応がかなり遅れる現状が予想されます。また、一般診療の現場でも、敗血症の専門家(集中治療医、救命救急医、感染症医)は少ないため、診断の遅れや不適切な診療がしばしば起きている可能性が考えられます。

以上より、一般市民、医療者ともに敗血症に関する正しい知識と迅速な対処法を身に付けてもらうことがきわめて重要になります。このような現状を背景に、日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本感染症学会の3学会が密接な連携を図り、2019年に合同で日本敗血症連盟(Japan Sepsis Alliance:JaSA)を結成しました。JaSAでは、“敗血症による死亡を減らすだけでなく、敗血症による合併症や後遺症を減らして患者の社会復帰につなげる”ことを目標に、2019年より、敗血症の予防・診断・治療・教育に関する種々の合同活動を積極的に推進しています。

現在、JaSAの活動として、敗血症関連の市民公開講座、多職種対象の敗血症セミナー、3学会の合同敗血症セッション、世界敗血症デー(9月)の取り組み、敗血症関連情報のインターネット配信(敗血症.com)などが進められています。

小倉裕司(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター准教授)[敗血症の最新トピックス①]

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