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妊娠高血圧症候群の発症とオートファジー

No.4997 (2020年02月01日発行) P.50

最上晴太 (京都大学医学部婦人科学産科学)

中島彰俊 (富山大学大学院医学薬学研究部 産科婦人科教室講師)

登録日: 2020-01-29

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  • オートファジーは,がんや神経変性疾患,また生活習慣病の発症のメカニズムのひとつとして注目されていますが,妊娠高血圧症候群(hypertensive disorder of pregnancy:HDP)との関連はまだ未知の世界です。この点について,妊娠高血圧症候群のオートファジー研究の第一人者である富山大学・中島彰俊先生にお伺いします。

    【質問者】

    最上晴太 京都大学医学部婦人科学産科学


    【回答】

    【妊娠高血圧症候群における胎盤形成不全の一因であると考えられる】

    HDPは,妊娠中に高血圧,蛋白尿をきたす疾患で妊娠の3~10%に生じ,母子ともに予後不良な疾患です。世界で妊婦の約1000万人が罹患し,その中の8万人/年が亡くなり,そのHDP妊婦から出生した胎児および新生児の死亡数は,約50万人と推定されます。晩婚化の進むわが国では,HDP妊婦の増加が懸念されています。一方,オートファジーは細胞内恒常性維持機構とも呼ばれ,2016年の大隅良典博士のノーベル賞受賞によって脚光を浴びたことは記憶に新しいことではないでしょうか。

    筆者らは,HDPの病態における胎盤形成不全と細胞内恒常性維持機構の破綻(オートファジー不全)について研究を行ってきました。オートファジー不全胎盤となる胚盤胞を作成し,オートファジーが正常な偽妊娠マウスに妊娠させることで,HDPの主症状である高血圧が誘導され,胎盤の発育が抑制される(胎盤発育不全)ことを明らかにしました。そして,ヒトの胎盤細胞のオートファジー不全セルラインを作成することで,胎盤細胞が機能不全に陥ることも明らかにしています。つまり,オートファジーは胎盤自体の恒常性を維持することで,胎児の発育のみならず,母体循環の安定にも寄与していることがわかってきました。

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