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デジタル胸腔ドレナージシステム

No.4994 (2020年01月11日発行) P.48

藤原和歌子 (鳥取大学胸部外科)

中村廣繁 (鳥取大学胸部外科教授)

登録日: 2020-01-11

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【ドレーン留置期間・在院日数の短縮が期待される】

デジタル胸腔ドレナージシステム(ThopazTM)は,エアリーク量,胸腔内圧を客観的に数値でモニタリングし,過去24時間のデータが記録できるドレナージシステムである。重量は約1kgで,バッテリー稼働で持ち運びが可能である。最近では液晶カラーディスプレイで排液量も数値で確認でき,72時間までトレンドが表示できるようになった新型のThopazTM+も販売されている。従来型と異なり水は不要で,装置内にチェックバルブ機能が存在し,大気の逆流を防ぐとともにウォーターシール機能を有している。また,チューブ内の排液による影響を受けず,エアリーク発生に応じて吸引することで胸腔内圧を生理的範囲内に保つことができるという利点がある。

従来型との比較・検討は様々である。Pompiliら1)による,肺葉切除・区域切除後における多施設ランダム化比較試験では,ドレーン留置期間・在院日数が従来型よりも有意に短縮されたとしている。さらには,ThopazTMの使用による患者満足度の向上や,入院期間短縮に伴うコスト削減の可能性が示唆されている。安全性については両者で差は認めていない2)。一方で,Gilbertら3)は,エアリークの有無にわけてドレーン留置期間・在院日数について検討したが,統計学的有意差は得られなかったと報告しており,今後さらなる検討が期待される。

【文献】

1) Pompili C, et al:Ann Thorac Surg. 2014;98(2): 490-6.

2)Evans JM, et al:Appl Health Econ Health Policy. 2019;17(3):285-94.

3)Gilbert S, et al:J Thorac Cardiovasc Surg. 2015;150(5):1243-9.

【解説】

藤原和歌子,中村廣繁 鳥取大学胸部外科 *教授

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