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ANCA関連血管炎・腎炎の最新情報

No.4988 (2019年11月30日発行) P.51

要 伸也 (杏林大学腎臓・リウマチ膠原病内科教授)

登録日: 2019-11-28

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【リツキシマブの適応が拡大し血漿交換も対象に。抗補体薬など新規治療の治験も進行中】

ANCA関連血管炎は,好中球細胞質にある2つの顆粒酵素,すなわちmyeloperoxidase(MPO)とproteinase 3(PR3)に対する自己抗体(MPO-ANC A,PR3-ANCA)の出現を特徴とする全身性血管炎である。microscopic polyangiitis(MPA),granulomatosis with polyangiitis(GPA),eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA)の3つの病型がある。腎障害を生ずるのは主にMPAとGPAであり,病理的には壊死性半月体糸球体腎炎,臨床的には急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を呈する。

病態にはいまだ不明な点が多いが,好中球の活性化や腎臓をはじめとする臓器障害の形成には,サイトカインや補体系(特にC5a),さらには好中球細胞外トラップ(NETs)の関与が推測され,最近,最初のANCA形成についてもNETsの関与が指摘されている。

初期治療の基本は副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬の併用であり,シクロホスファミドの使用により予後は大幅に向上した。さらに2013年,B細胞を標的とするリツキシマブが保険適用となり,シクロホスファミドと同等の効果が期待できる。従来治療に抵抗性,ないし再発性の難治例にも有効なことがあり,ステロイド節約効果,腎機能による用量調節が不要であること,などが利点として挙げられる。維持治療としても使用機会が増え,定期投与またはマーカーをみながらの随時投与が行われている。18年からは血漿交換も保険適用に加わり,最重症例に用いられるようになった。そのほか,抗補体薬を含む新規治療の治験も進行中であり,近い将来ANCA関連血管炎の治療が大きく進歩することが期待されている。

【解説】

要 伸也 杏林大学腎臓・リウマチ膠原病内科教授

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