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■NEWS 厚生労働省が2020年度改定の基本方針・骨子案を提示─社保審・医療部会

No.4988 (2019年11月30日発行) P.67

登録日: 2019-11-20

最終更新日: 2019-11-20

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厚生労働省は1118日の社会保障審議会・医療部会に、2020年度診療報酬改定の基本方針の骨子案を提示した。改定の基本認識や基本的視点に「将来を見据えた課題」を追加した以外、これまでのたたき台から大きな変更はない。ただ、「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」を重点課題とする姿勢を堅持した点については、保険者らから改めて疑問の声があがった。

骨子案は、▶改定に当たっての基本認識、▶改定の基本的視点と具体的方向性、▶将来を見据えた課題―の3部構成。基本認識では、高齢者人口がピークに達し、生産年齢人口の減少が始まる40年頃に向けて、健康寿命の延伸や「全世代型社会保障」の構築に取り組むのと並行して、医療の効率化・適正化を進め、制度の安定性・持続性を確保する考えを示した。

基本的視点には、重点課題に位置付ける「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」のほか、▶患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、▶医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進、▶効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―を挙げた。

今回、新たに追加した「将来を見据えた課題」では、人口構造の変化をはじめとする医療制度を取り巻く様々な課題に対処し、「全世代型社会保障」の実現に結びつけるには、診療報酬だけでなく、関連法などの制度的枠組みや予算措置も含めた「総合的な政策の構築が不可欠」と指摘。国民全体の医療制度への理解を高める観点から、普及啓発活動などを通じて丁寧な説明を行う必要性にも触れた。

■働き方改革の重点課題化で再度議論に

全体的な方向性について委員から反対意見が出ることはなかったが、保険者らは、働き方改革のみを重点課題とすることについて、改めて不満を表明。医療提供体制の効率化・適正化こそ、優先されるべきだとの認識を示した。こうした声に、厚労省は、医師の時間外労働規制をはじめとする医療従事者の働き方改革は、医療従事者や行政関係者だけでなく、医療を受ける患者や国民にも影響がある重大な問題だと、重点課題として取り上げる妥当性を繰り返し説明し、理解を求めた。

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