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■NEWS 外国人診療に役立つ「やさしい日本語」の普及に向けワークショップが開催

No.4987 (2019年11月23日発行) P.68

登録日: 2019-11-18

最終更新日: 2019-11-18

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ヘルスプロモーションの実践・普及などを行う日本HPHネットワークは11910日、都内でセミナーを開催した。9日には、外国人診療などに有用だとして注目を浴びている「やさしい日本語」のワークショップが開かれた。

ワークショップで講演した、日本語教育が専門の岩田一成氏(聖心女子大文学部)によると、「やさしい日本語」とは「『飲酒の習慣はありますか』を『毎日、お酒を飲みますか』に言い換えてみるという簡単な提案」。国立国語研究所や法務省の在住外国人に対する調査結果から、日本語は英語よりも伝達率が高いことや、一定程度日本語を理解できる人は8割を超えることを指摘した。岩田氏は、「話し方次第で日本語は理解される」と強調し、医療現場で自信を持って「やさしい日本語」を活用するよう求めた。

外国人患者に対する日本語伝達率を上げるための工夫として岩田氏は、①「飲酒」「習慣」といった漢語は別の言葉に言い換える、②尊敬語・謙譲語を外す、③「ですます調」を使用する―と提示。漢語は同音異義語が多いため意味を誤解しやすい。また日本語学習は「ですます調」から始まるため、「である調」より伝わる可能性が高いという。

医療現場でのやさしい日本語の普及に努める医師の武田裕子氏(順天堂大)は、「やさしい日本語を用いる際に大切なのは、理解したい、伝えたいという心だ」と強調。医療現場で実践するための具体的なポイントとして、「相手の表情をよく見る」「擬音語・擬態語は使わない」「相手の言葉を繰り返す」「画像検索を用いて写真を見せる」などを挙げた。医師の説明を患者が理解しているかを確認する方法については、「医師へ質問できない文化を持つ国もある」として、「『わかりますか』と聞くのではなく、『薬の飲み方を言ってください』などと患者に説明してもらうとよい」と述べた。

ワークショップでは外国人模擬患者を交え、診療場面のロールプレイも実施した。


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