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EBMを活用してチーム医療を充実させる─Step1とStep5の共有がチーム力を高める[プライマリ・ケアの理論と実践(35)]

No.4982 (2019年10月19日発行) P.8

五十嵐 俊 (横浜市立市民病院薬剤部)

登録日: 2019-10-17

最終更新日: 2019-10-16

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SUMMARY
EBMはそれ自体が医療に関する問題解決の技法としてとても優れている。個々の医療者による単独の実践にとどまらず医療職間で共有することでチーム医療の充実に役立てることができる。

KEYWORD
EBMの5つのstep
EBMは5つのstepを確実に行うことで実践に近づくことができる。最も重要かつ慎重であるべきはstep4「情報の患者への適用」だがエビデンスが存在しないことも少なくない。各stepを充実させることで患者中心の医療にも役立つ。

五十嵐 俊(横浜市立市民病院薬剤部)

PROFILE
1994年明治薬科大学を卒業し分子生物学の研究者をめざすが,気が付いたら病院薬剤師になっていました。1999年にEBMと出会い,2000年にEBMワークショップに参加して人生が変わりました。

POLICY・座右の銘
明日できることは今日しない



1 EBMの5つのstep

科学的根拠に基づいた医療(evidence based medicine:EBM)は医療に関する問題解決の技法のひとつである。EBMは5つのstepで構成され,それぞれ,step1:疑問の定式化,step2:情報検索,step3:情報の批判的吟味,step4:情報の患者への適用,step5:step1~4の振り返りからなる(図1)。step1ではPICOというフレームで患者の問題を定式化(表1)することで,目の前の患者にどのような問題があるかを見きわめ,step2ではその問題の解決に役立つと考えられる情報を探し,step3では得られた情報が本当に正しいものかどうかを批判的に吟味して,step4でその情報を目の前の患者にどう使っていくかを考え(行動し),step5でこれまでのすべての取り組みが適切であったかどうかを評価する。

EBMは一見,個々の医療者による患者ケア実践の営みに感じられるかもしれない。しかし上手に活用するとチーム医療をより充実させ,スタッフ間のコミュニケーションの円滑化につながる可能性がある。EBMというと効果推定値などのエビデンスそのものやstep3での批判的吟味が注目されがちであるが,EBMが真の威力を発揮するのはむしろ個々の専門職が同じ目的のために協力し合える環境が自然に構築できる点にある。

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