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■NEWS RIZAPが朝日生命成人研究所附属医院と低糖質食のRCTを実施─「短期間の糖質制限は肥満症治療に安全かつ有効」

登録日: 2019-07-17

最終更新日: 2019-07-17

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全国で127店のトレーニング施設を展開するRIZAP株式会社は、主力のボディメイク事業に加え、生活習慣病予防などヘルスケア事業への進出を本格化する。5月30日に開催したヘルスケア市場進出に関する事業戦略発表会で同社は、朝日生命成人病研究所附属医院と共同で実施した肥満症治療における低糖質食の安全性と有効性に関する研究成果を報告。同院医師で研究責任者の菊池貴子氏は、「短期間の低糖質食は肥満の是正に安全かつ有効であることが示唆された」と述べた。

RIZAPでは店舗でのトレーニングとともに毎日の食事管理に重点を置き、減量を希望する顧客には低糖質食を推奨するなどの指導を行っている。今回の共同研究はRIZAPの実践する低糖質食事療法を医学的な観点から評価することが狙い。これまでの低糖質食事療法に関する研究報告は、ほとんどが食事記録を分析するコホート研究だが、今回はエビデンスレベルの高いRCTで実施した。

研究は20歳以上65歳未満、BMI25~35の日本人男女で、境界型糖尿病、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症のうち1つ以上を合併し、病態が安定している42人(男性35人、女性7人)を対象とした。RIZAPが2カ月間すべての食事(朝、昼、夕、間食)を提供。21人ずつを1日の糖質量50gと120gに振り分けて低糖質食事療法を実施し、血液検査や体組成のパラメータ変化などの検証を行った。運動介入はしていない。RIZAPの管理栄養士による毎日の指導で、遵守率がほぼ100%という信頼性の高いデータが得られたという。

1日糖質量120gでも減量効果あり

体重減少については、参加者全員に減量効果があり、50g群は平均7.4Kg減、120g群は6.3Kg減という結果で、2群間に有意差はなかった。血清パラメータの変化は、①肝機能、中性脂肪、HDLコレステロールが両群とも改善、②LDLの悪化なし、③腎機能の悪化なし、④血糖値、HbA1cは両群とも改善―という結果が得られた。

この結果について菊池氏は、「糖質50g、120gのいずれも短期では有害事象が認められず、従来のダイエットで痩せられなかった人が効果的に痩せられ、採血データの改善があったことが分かった」と説明。試験終了後に被験者に対して感想をヒアリングしたアンケート結果を踏まえ、「120gの食事療法はボリュームもあり、実践しやすいという声が多かった。低糖質食事療法は医師監修の下で適切な運用をすれば、安全で効果的な治療法といえる」との考えを示した。

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