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ボーエン様丘疹症[私の治療]

No.4968 (2019年07月13日発行) P.51

三石 剛 (東京女子医科大学八千代医療センター皮膚科准教授)

登録日: 2019-07-12

最終更新日: 2019-07-09

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  • ボーエン様丘疹症は男女の外性器や肛門周囲の粘膜・皮膚移行部に散在,集簇する褐色から黒色調の自覚症状に欠ける丘疹であり,ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)の感染による腫瘍である1)。KopfとBartが外陰部の黒色丘疹の腫瘍をボーエン様丘疹症と名づけたのが,1977年のことである2)。1983年, Ikenbergらが外陰部のボーエン様丘疹症からHPV 16と16関連の遺伝子型の分離に成功し,ボーエン様丘疹症の発症の原因がHPVであることを結論づけている3)
    ボーエン様丘疹症は20~30歳代の性活動の盛んな年代に好発し,病変からは子宮頸癌から検出されるハイリスク群のHPVが検出されることが多い。しかし,ボーエン様丘疹症が進行がんに進展することは高頻度ではなく,自然消退も期待できる疾患である。稀に軽めの凍結療法で簡単に消退することもある。男性の陰茎に発症するボーエン様丘疹症は,泌尿器科ではpenile intraepithelial neoplasia(PIN)と呼ばれることがあり,また女性の陰唇等に発症した際には外陰上皮内腫瘍(vulval intraepithelial neoplasia:VuIN)とほぼ同一疾患で,いずれもHPV感染症であることが前提である。したがって,外陰Paget病はHPVとは関連した疾患ではないのでPINやVuIN等の別称はない。ボーエン様丘疹症は自然消退することが古くから言われているが,抗アポトーシスの観点から,本症のすべてが必ずしも増殖能がないわけではない。

    ▶診断のポイント

    【臨床症状】

    ボーエン様丘疹症は大きさ数mmから1~2cm程度までの褐色から黒色調の丘疹が多発し,しばしば丘疹が融合して線状や小局面を形成する。一方,類似のボーエン病では臨床的に結節,連圈状を呈するが,散在性や線状結節などの臨床像ではなく,遠心性に拡大していく。しかし,外陰に生じた類似のボーエン病はHPVの関与が疑われ,ボーエン様丘疹症との鑑別が非常に困難な症例もある。また,尖圭コンジローマはHPVのローリスク(ノンリスク)群の感染によって生じるが,時に黒色調の尖圭コンジローマがみられ,ボーエン様丘疹症との鑑別に苦慮することがある。HPVの感染によって生じるため,診断学的にPCR法やハイブリッドキャプチャー法は有用である。

    【病理組織所見】

    病理組織像で類似のボーエン病との鑑別が問題となるが,通常本症は性感染症の範疇に入り,男女の性器に発症する。また,臨床的に丘疹を呈し,やがて線状結節や局面を呈する。ボーエン様丘疹症の病理組織像はボーエン病の病理組織像と一致する。著明な表皮肥厚をきたし,表皮内に核異型性,分裂像をはじめclumping cellを認める。また,外陰には複数のHPV感染が言われており,時に尖圭コンジローマの原因であるHPV 6/11型が分離されることがある。その際の病理組織像では,同一病変内に尖圭コンジローマに特徴あるコイロサイトーシスを認める。また,ボーエン様丘疹症は婦人科領域でHPV感染に起因するVuINと類似あるいは同一疾患であることから,病理組織像でもgrade Ⅰ,Ⅱ,Ⅲなどのように表皮内の異型細胞の頻度は症例によって違ってくる。

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